積水ハウス、「和田前会長」反旗の声は届くか

問われるガバナンスと地面師事件の解明

会見で和田氏らが主張したポイントは2つある。ガバナンスの問題と地面師事件の背景の究明だ。

ガバナンス問題は、和田氏の主張にも理がある。積水ハウスの調査報告書によれば、地面師事件が起きた2017年当時の経営陣(和田氏が会長、阿部氏が社長)は、常識的に見て疑いを持つべきタイミングが何度もあったにもかかわらず取引を行ったことや、その点で経営陣にリスクの審査や認識に問題があったこと、結果論として取締役会と監査役会のチェック機能が不完全だったことなどが指摘されている。

和田氏はなぜ辞任を迫られたのか

そして、調査報告書は、当時会長だった和田氏に対しても「再発を防止するために、人事や制度の運用について、不完全な部分を是正する責務がある」としている。

記者会見で積水ハウスのガバナンスを立て直すために立ち上がった、と訴える和田前会長(撮影:大澤誠)

問題はここからだ。和田氏ら側の説明によれば、人事・報酬諮問委員会は当時社長だった阿部氏に責任があるとして、「退任が妥当」と答申した。が、その後の取締役会では、阿部氏の解職を求める議案が否決され、逆に当時会長だった和田氏が辞任に追い込まれた。

会社側は「弁護士陪席のもと、適法に議事が進められた」と説明するが、なぜ阿部氏の責任を明確化させる議案が、和田氏の辞任に変わったのか。こうした不透明な経緯は、和田氏が言うとおりガバナンスの軽視だと指弾されても仕方がない。

また、この調査報告書を基に『週刊東洋経済』が2019年10月19日号で記事にし、調査報告書と同一と見られる文書が「Save Sekisui House」なるウェブサイト上で公開されたにもかかわらず、現経営陣は2018年3月6日公表の3ページの文書以外に何ら説明を行っていない。

社外取締役らは2018年1月に15ページの調査報告書を取りまとめたが、会社側は上述の3ページの文書を公表したにすぎない。個人株主が地面師事件の責任を追及すべく起こした株主代表訴訟の中で、積水ハウスは裁判所から調査報告書の提出を命じられたにもかかわらず、プライバシー保護などを理由に、あの手この手で拒否。最終的には2019年秋ごろから閲覧可能な状態になったが、会社側が詳細を明かしたくなかったのは確かだ。

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