積水ハウス、「和田前会長」反旗の声は届くか 問われるガバナンスと地面師事件の解明

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和田氏が主張するもう1つの争点は地面師事件の背景にある問題だ。

今回、社外取締役候補に挙げられた、チャート・グループ会長兼CEOのクリストファー・ダグラス・ブレイディ氏は、金融、国防、マネーロンダリング防止に高い知見を持っているという。

ブレイディ氏は、「調査報告書を読むと、マネーロンダリングの兆候が散らばっていることがわかる。テロ資金の調達手段となっていることを疑わせるさまざまな事実が報告書には書かれている。われわれが取締役として着任すれば真相を解明することができる。現経営陣は事実を隠そうとしている」と指摘した。

阿部会長は何を恐れているのか

和田氏も、経営陣が調査報告書を隠し続けようとした点を「隠しに隠している。これだけ隠し通すのはおかしい。何かうごめいているものがある。事件の真相を明らかにしないとダメだ」と指摘する。

会見のあった2月18日、積水ハウスは「本株主提案に対する当社取締役会の意見については、決定次第、速やかにお知らせいたします」という短いリリースを出した。

常識的にみて、取締役全員の解任を求める和田氏らの株主提案を現経営陣が受け入れることはないだろう。4月の株主総会で和田氏の主張を株主がどう判断するかが焦点になりそうだ。

積水ハウスは2020年1月期に過去最高純益(過去最高は2018年1月の1332億円)となることを必達目標として、不動産売却を積極化してきた。2020年4月の株主総会は、2017年の地面師事件以来2度目となる取締役の改選期にあたる。好調な業績を内外にアピールし、阿部会長・仲井社長の現体制維持を図っていることは間違いない。

積水ハウスの2020年1月期決算の発表は3月5日。その場には仲井社長ら、現経営陣も同席する。和田氏の投げかけたガバナンスの問題と地面師事件の背景解明に、どういう答えを出すのか。株主の納得するような説明ができなければ、混迷は一段と深まることになりそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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