石油元売りJXTG、第2フェーズで試される成長力 中国の要因から石油化学と電材加工に逆風

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ただ近年、JX金属の業績は変動が大きい。資源開発事業ではチリのカセロネス銅鉱山の操業が安定せず、2018年3月期には1250億円もの減損を計上した。ようやく黒字を出すまでに操業が安定してきたが、今期は米中貿易摩擦の影響でスマホ向けの圧延銅箔が減少している。

中長期で見るとJXTGが手がける石油化学や電材加工などの事業は世界的に需要拡大が確実視されている。そのため、2019年5月に公表した40年の長期ビジョンでもこの2事業は成長事業として位置づけられた。中国の影響で足元ではそこに逆風が吹きつけている。

国内の石油精製事業は安定

一方で、国内の石油精製事業は比較的安定している。JXTGに次いで2019年4月に出光興産と昭和シェル石油が統合し出光昭和シェルが誕生、国内の事業者はコスモエネルギーホールディングスを含めた大手3社に集約された。これで過剰供給の是正が進んだことから、各社の収益は大幅に改善した。

この結果、国内市場が縮小し続けるとはいえ、石油精製事業では一定の利幅を確保できる状態になっている。内需型のイメージが強い石油元売りだが、JXTGの収益構造は中国の動向が業績を大きく左右するといえる。

2月13日に決算会見を行ったJXTGホールディングスの太内常務(記者撮影)

現在の中期計画は統合によるシナジー最大化が大きなテーマの1つで、旧JXホールディングス、旧東燃ゼネラル石油の製油所間の連携を強め、効率化を進めてきた。ガソリンスタンドも東燃のエッソ、モービル、ゼネラルを廃し、エネオスマークに統一した。

2020年度から始まる新たな中期計画はJXTGにとって第2フェーズに当たる。そして今年はグループの運営体制も変わる。2020年6月の定時株主総会の承認を経て、JXTGホールディングスと事業会社JXTGエネルギーの役員を極力兼任させ、実質的にひとつの事業持ち株会社としての運営を始める予定だ。これによって「外部環境の変化が大きいので、意思決定のスピードを上げていく」(太田常務)。

長期ビジョンでは「アジアを代表するエネルギー・素材企業」を掲げている。中国の要因で厳しさが増す中、国内石油精製に代わる収益柱をどのように育成・拡大していくのか。グループの成長力が試されることになりそうだ。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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