日本流の「サービスエリア」は台湾で通用するか 日本と台湾の「清水」が休憩施設で手を組んだ

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この連載で時々お伝えしているように、海外の高速道路を走る機会が多い筆者だが、日本の高速道路のサービスエリア、パーキングエリアの充実度は世界一と言ってよい。海外の知人を日本のSA・PAに案内する機会もあるが、東名・海老名SAや昨年移設しリニューアルされた東北道・蓮田SAを見た彼らは一様にその規模と品ぞろえの多様さに驚く。

飲食店や土産物店にご当地グルメなど各地方の特色がくっきり表れているのも、日本ならではの魅力である。今回の進出は、親日的で日本への渡航者も多い台湾の人たちに、ドライブの合間に日本の味や雰囲気を味わってもらおうと、台湾の食品大手企業との合弁の形での出店となったものである。

台湾と日本の「交通文化」

台湾は日本の植民地時代が長く、例えば日本以外でほぼ唯一、鉄道の「駅弁」が定着したところでもある。今でも、台北駅だけでなく、地方の小駅でも駅弁の販売があり、日本ではほとんど見かけなくなったホームでの立ち売りも、減っているとはいえ今も見られる駅がある。

また、交通関連の台湾進出と言えば、2021年にはJR東日本グループのホテルであるメトロポリタンホテルが初の海外進出店として台北市内に「ホテルメトロポリタン プレミア 台湾」を開業する計画を発表しているなど、信頼のある日本の交通関連企業が培ってきた日本流の接客やサービスが海外で試されようとしている。

高速道路に話を戻すが、台湾の高速道路も日本同様、自動料金収受システム、つまりETCへの移行が終わっている。日本のような料金所はすでになく、本線上に細かく設けられたチェックポイントで車に貼ったETCのタグやチップを自動的に読み取る仕組みになっており、料金所そのものがないので、収受の際の減速も必要ない。

タグやチップがない車も、ナンバープレートを読み取って後日請求される仕組みになっており、このあたりは日本よりも進んでいるといえよう。

私自身は最近、台湾の高速道路を運転していないので、遠からず「清水服務区」のにぎわいも確かめながら、「臺灣高速公路」の変貌ぶりを楽しみたいと願っている。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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