マスクや防護服などは供給が足りておらず、特にマスクの不足は企業の操業再開を阻む障壁となっている。
2月5日夕方頃、広東省仏山市楽従鎮の感染症対策指揮部は提議書の中で、「現在マスクなどの感染予防物資の供給が不足しているため、楽従鎮においては3月1日までに操業再開するための十分な条件が揃っていない」と発表した。
(EMS世界最大手の)鴻海グループに部品を供給している深圳の企業の責任者は、「感染状況に改善の兆しが見えず、感染予防物資も不足している状況下では、操業再開できたとしても、いかにして感染拡大に対応するかが、企業の最も憂慮する問題になる」と語る。工場では従業員同士が密集するため、家族の安全を考え、操業再開後は自宅から出て1人で暮らす準備をしているという。
「マスク問題を解決できていないのに、誰が操業再開しようとするだろうか」とも言う。「マスクは買えないわけではないが、コストが高すぎる。もともと1枚0.6~0.7元(約10円)だったが、今では4元(約60円)以上する。従業員が1000人いる工場だと、マスクの費用は1日8000元(約13万円)になる」
同責任者は、自社でマスクの製造ラインを作ることも考えた。しかし、地元の関連部門に問い合わせると、臨時で材料を手に入れることはできるが、製造ラインが稼働してもマスクは全て政府に徴収されることを知る。自社で製造し直接自社で使用することはできないのだ。
幸いなことに、鴻海グループがマスクの製造ラインを導入しはじめたため、春節(旧正月)前に準備していた分を加えれば、おそらく予定通りに操業再開できるという。
正常化は「1カ月から2カ月後」
自動化設備を製造している深圳の企業の責任者は、「今は正規のルートでマスクは手に入らず、非正規ルートで購入したマスクも安心して使用できない。“三無”(メーカー名、メーカー所在地、商標の3点が記載されていない製品)のマスクは製品の基準を満たしていない。(新型コロナウイルスは)感染力が強いので、万一感染者が出たら大変だ」と話す。
「仕入先や得意先が操業再開しなければ、我々が単独でやったところで何の意味もない」と語るのは、山東省淄博市にある機械メーカーの関係者。同社の主な仕入先は鋳造企業と鋼材企業だ。
一方、湖北省は出稼ぎ労働者を供給する一大拠点だ。そのため、湖北省出身の従業員が多い企業は、製造に一定の影響が生じると予想される。前述の自動化設備を製造している深圳の企業の責任者は、「湖北省出身者の職場復帰を延期し、深圳に戻ってから14日間は自主的な隔離を行ってもらう予定だ」と話す。
さまざまな制約を鑑み、多くの企業関係者は春節後の操業再開には緩衝期間が必要だとし、正常な状態に戻れるのは、1カ月から2カ月後だろうと語る。
(財新記者:于海栄、張娯 ※『財新週刊』2月10日号より)
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