「私たちは2、3日野宿をしていました。ボランティアの助けがなかったら、今頃どうなっていたのかまったく見当もつきません」。2月11日、武漢中心病院後湖分院にて、看護助手の陳翠蘭氏はこう語った。
陳氏ともう1人の看護助手・張蘭氏は発熱を起こしたことにより、居住区へ戻るようにと指示を受けた。だが病院で働く看護助手は普段は全員病室などに寝泊まりしており、独立した部屋を持っていない。
そのため両氏は街をさまよい歩くほかなかった。彼女たちが経験したこの苦境は、武漢にとどまる多くの看護助手たちが置かれている現実でもある。
感染してしまっても病院に居場所はない
48歳の陳氏と52歳の張氏はどちらも後湖分院のベテラン看護助手だ。1月26日、後湖分院が新型コロナウイルスに対応するための指定病院となり、そのほかの入院患者はいずれも武漢中心病院本院に移された。
両氏も患者とともに本院に移った。本院に移動して2日目、陳氏が面倒をみていた高齢の患者が発熱し、隔離された。2月5日、陳氏も発熱し、自ら薬を購入し服用したが効果は見られなかった。
2月6日夜、陳氏はCT検査と血液検査を受け、その結果が新型コロナウイルスの症状と類似していることが判明。同日、同じ部屋で業務にあたっていた張氏にも症状が現れ始める。
翌7日、陳氏は核酸増幅検査を、張氏はCT検査と血液検査をそれぞれ受けた。9日、陳氏は陽性と明らかになったが、張氏の結果は依然不明のままだった。
「私が核酸増幅検査を受けた日(7日)の朝7時、看護師長が病室に来て、われわれ2人に10分以内に病院を出るように要求しました。ほかの患者に新型コロナウイルスが感染するおそれがあると言うのです。当時はすごくがっかりして、泣き出してしまいました」と陳氏は言う。
さらに陳氏は「われわれは普段は病院に泊まり込んでおり、外部に住む場所はありませんので、病院を追い出されたら街をさまよい歩くしかありません」と続ける。
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