春節明けの中国で新型肺炎の「退治」に総力戦 北京に最大700万人の労働者が地方から戻る

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中国政府は全国の医師・看護師を総動員して新型コロナウイルスを退治する。写真は湖北省宜昌市に派遣される福建医科大学第一付属病院の医療チーム158人(写真:新華社/アフロ)

2月12日現在、中国国家健康衛生委員会の発表によれば、中国では新型コロナウイルスによる肺炎に感染した患者数は4万4653人まで拡大し、前日より2015人増加した。患者数が5万人を超える日は近いとみられる。

11日朝8時ごろ、筆者は北京でもっとも混雑する道路の一つ、第四環状道路(四環)を北京の南から北へ車で走り、病院に持病の糖尿病の薬を取りに行った。少し早めに家を出たので、「渋滞はなく、患者も少ないだろう」と思っていたが、意外にも四環はけっこう混んでおり、渋滞はなかったにしろ速度制限いっぱいの時速80kmはあまり出せなかった。

北京ではすでにほぼすべての企業が仕事を再開していた。在宅勤務が増えたといっても、やはり出社する人も多かったのだろう。筆者のような60歳以上の老人は、病院内でもしっかりマスクをして、中にはレインコートを着て持病の薬を取りに来る人でごった返していた。病院のベンチにぎっしりと座り、知り合いでもないのに新型肺炎について議論していた。

「在宅勤務」が北京の日常に

2月10日は中国にとって特別な意味を持つ。1月25日から始まった春節休暇は本来ならば2月3日に終わるはずだったが、新型肺炎の影響で2月9日までに延期されていた。北京や上海などの主要都市ではマスク、消毒液がきわめて不足している中で、2月10日に企業活動が動き出したのだ。

北京の中関村にある理光ソフトウェア研究開発(北京)有限公司(リコー・ソフトウェア)は、2月8日に「10日から在宅勤務を開始する」知らせを従業員に向けて出している。14日までは在宅勤務で業務を行うという。中関村のIT企業が入っているオフィスビルには、11日も人影が少なく、閑散としているように見える。当番や緊急の仕事以外は在宅勤務、というのが北京のオフィス街の新たな風景になった。

上海にある三菱総合材料管理(上海)有限公司(三菱マテリアルの現地法人)でも、2月10日~14日は在宅勤務にした。日本からの製品は2月7日にすでに出荷を始めており、10日から通関する。物流の影響で遅延の可能性があるが、顧客に「理解していただきたい」と微信(WeChat)をはじめとしたSNSで通知している。

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