春節明けの中国で新型肺炎の「退治」に総力戦

北京に最大700万人の労働者が地方から戻る

問題はモノづくりの現場だ。組み立て作業となると、数十人から数百人が密集して工場内で作業をしなければならない。筆者の知り合いの経営者は、感染防止措置に必要なマスクや消毒液があまりに不足している現状や、食堂の運営問題などに頭を抱えている。

2月11日時点で、北京では新型肺炎の感染者数は342人で、前日より5人増えた。北京の人口2153万人と比べれば、この患者数は北京として対応できない数ではない。だが問題は、10日の仕事再開とともに、毎日10万~20万人の労働者が北京に戻ってくることだ。

北京市の予測では、今後数百万人から最大で700万人もの労働者が地方から戻ってくる。その中で、感染者数をどこまで抑えられるのか。北京だけではなく、上海、広州なども同じ難問に直面している。

「一点突破」で新型肺炎を食い止める

一方、新型コロナウイルスの発生源となった湖北省の武漢市では2月10日から新型肺炎の治療へ総力戦をかけている。武漢を集中的に支援する一点突破で、中国全土への新型肺炎の感染拡大を食い止めようとしているのだ。

今回の新型肺炎でもっとも感染数が多い省は湖北省で、2月11日現在、確定した患者数が3万1728人と国内の約74%を占め、毎日2000~3000人ずつ増加している。そのうち、省都の武漢の患者数が1万8454人で、省内では突出する。中国のその他の省や直轄市、自治区では、広東、浙江、河南の3省を除いて患者数が4桁にはなっているところはない。

これは湖北省の新型肺炎の感染を食い止めれば、中国の四分の三の問題を解決できるということに等しい。そのため中国は全国の力を結集して武漢での総力戦に入っているのだ。

1月23日に建設が決定された武漢市の火神山医院(建築総面積3万3900平方メートル、ベッド数は1000床)では、翌24日に建設図面が提出され、図面の完成を待たずに深夜1時にショベルカー、ブルドーザーなどの建機が現場に到着して作業を開始した。わずか10日間ほどで火神山医院は完成し、2月4日から新型肺炎の患者が武漢市内から運搬され治療を受けるようになった。

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