事故物件を「安いから借りる人」の偽らざる事情 人が亡くなってしまった部屋を貸す側の苦労

拡大
縮小
最近人気の事故物件に、ビジネス上のメリットがあるのだろうか?(筆者撮影)

事故物件とは、自殺や殺人などで人が亡くなった部屋のことだ。借り手がつかないため、家賃が下がる場合が多い。

最近では、そういう家賃が下がった事故物件にあえて住みたいという人も増えているという。

ならば事故物件であるということが、ビジネス上のメリットになることはあるのだろうか?

全国の事故物件を地図上に表示するインターネットサイト『大島てる』を運営する、大島てるさんに話を聞いた。

「事故物件に住みたい」わけではない

「最初にはっきり言うと、自分の保有している物件が事故物件になるのはどう考えても損なんです。損をどれくらい小さく抑えるかに、知恵を絞ることはできますが、得することはありえません」

大島さんいわく、まず大前提としてほとんどの人は

「事故物件には住みたくない」

と思っているという。

人が亡くなる以前と同じ条件で貸し出しをしていると借りる相手を見つけることができないため、やむをえず特典をつけることになる。一番多いのは「家賃を下げる」という特典である。

・1年間に限り家賃半額
・毎月2万円値下げ

など、それぞれの物件で値段が下げられる。

「つまり事故物件に住みたいという人は、事故物件に住みたいから住むのではなく、

『家賃が安くなるから』

住むんですね。

事故物件に住むのは気持ち悪いけれど、年間24万円も安くなるなら我慢して住んでやろう……とそういう気持ちなわけです」

次ページ家賃を下げる以外の特典も
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT