小売店激減でも「生き残る店」の意外な共通点 ナイキの店舗に学ぶ「行きたくなる」店とは
消費者が店舗における「買い物」から離れているといっても、もちろん、お金を支払って何かを買うことがなくなるわけではない。なくなるのは、これまでの買い物におけるさまざまな「プロセス」だ。
買い物にはさまざまなプロセスがある。まず、店に行かないといけない。そのための身支度も整えないといけない。店に着いたら今度は売り場を探し、その売り場の中から、自分が求めているものを選ぶ必要がある。品質や機能をチェックしたり、値段を見たりと、比較検討することはいろいろある。買うものが決まったらレジの列に並び、財布を取り出してようやく支払いを済ませる。買った商品を家に持ち帰るまでも買い物だ。
モノを買うためのプロセスを分解すると、買い物とは、そうした面倒なことの積み重ねだということがわかる。
買い物は苦でないという人も
もちろん、反論も考えられるだろう。
「週末に家族みんなでショッピングに出かけるけれど、『面倒』というよりは楽しいイベントだ」「好きな服をたくさん見るのが好きだから、買い物はまったく苦じゃない」
こうした意見もきっとあるはずだ。しかしそれは、「買い物のプロセスの中の一部分」が好きだと言っていることがほとんどだろう。
家族と出かけるショッピングは確かに楽しいかもしれないが、帰りには渋滞に巻き込まれるかもしれない。服を見る楽しみがあるにしても、それ以外のプロセスは面倒なことが多いだろう。いい服が見つかったとしても、サイズがなくて取り寄せて、また別の日に店に取りに行くなどの時間や手間がかかることもある。
こうした買い物の煩わしさを大幅に解消してくれたのが、ネットショッピングだ。皆さんの中には、もはや「ネットショッピングなしの生活は考えられない」というほど身近になっている人もいるだろう。
ネットショッピングは、買い物の中で最も面倒な「店に行く」というプロセスを省略してくれた。ほかにも、決済が簡略化され、値段や機能の比較もしやすくなったなど、それまでのショッピングと比べると革新的な要素は多い。ネットショッピングは、業界では「Eコマース(電子商取引)」あるいは略して「EC」と呼ばれるが、ECの市場規模やEC化率の数値は年々右肩上がりで、今後もこの流れがそのまま進むことは明白である。
その結果、どうなるか? 人々はわざわざ買い物には行かなくなり、多くの実店舗は街から姿を消していくだろう。
「店舗離れ」の動きは、さまざまな方向で見られる。例えば「ウェブルーミング」だ。これは「商品探しをまずネットで行い、実際の購入は実店舗でする」という消費者行動を指す言葉だが、最近、そのようにして買い物をする人が増えているのだ。すでに、ネットショッピング購入経験者のうち半分以上は「ウェブルーミング」をしていると言われている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら