大混雑、「江ノ電」の運行本数は増やせるか? 列車の行き違い設備を作れば解決するが…

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これを5分で走れば10分ごとにできるが、狭隘な場所を走る江ノ電ではスピードアップは難しく、行き違いの場所を増やして対処することになる。

峰ヶ原信号場で行き違う江ノ電の列車(筆者撮影)

過去の鉄道雑誌に掲載された江ノ電のダイヤグラムを見ると、片道6分で走っている区間はなんと1カ所だけで、その他の場所は5分以下で走っている。その区間は江ノ島―峰ヶ原信号場間で、この間に行き違い場所を増やせば10分毎にできそうだ。

ところが、藤沢―鵠沼間や長谷―鎌倉間も5分で走っていて、鎌倉はホームの両側に2本の列車が停めることができるが、藤沢は線路が1本しかなく、列車が折り返す時間を設定することができない。ということで、藤沢の線路を2本に増やす必要があるが、藤沢は高架駅で線路の増設が高額となる。であれば、藤沢―鵠沼間にも行き違いの設備を作って藤沢で折り返す時間を設ければよい。つまり、藤沢―鵠沼間と江ノ島―峰ヶ原信号場間の途中2カ所に行き違いの設備を新設すれば江ノ電の輸送力増強ができそうだ。

江ノ電の見方は?

このアイデアに対して、江ノ電側は「理論的にはそのとおり」としつつも、「設備の設置費用や用地取得を考えると現実的には難しい」とする。

また、輸送力を増やすためには車両や乗務員を増やす必要もあるが、繁忙期の休日という一時的な観光輸送のために、江ノ電に巨額な負担とランニングコストの増加を強いることになる。

地方私鉄を整備するための補助制度もあるが、江ノ電よりも経営体力の弱い路線に対しての制度で、黒字経営の会社に補助金を注入するという考えも理解が得られにくい。このあたりが最大のネックとなろう。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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