大混雑、「江ノ電」の運行本数は増やせるか? 列車の行き違い設備を作れば解決するが…

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もともと江ノ電の沿線は海と山に囲まれた狭隘(きょうあい)な場所に市街地がつくられ、江ノ電はそこを縫うように走っている。狭隘なゆえに路線は単線で、電車のサイズも小さい。最大で4両編成と短い列車なので、列車の本数を増やすことができず、混雑に拍車をかけている形となっている。

JRなどで使用されている電車は長さ20m・幅2.9m前後が一般的だが、江ノ電の電車のサイズは1両あたり最大12.7m・幅は約2.5m程度と3分の2にも満たない大きさで、定員は一般的な電車の半分程度になってしまう。

通常、鉄道の輸送力を増やすには列車の本数を増やすか、1列車あたりの輸送力を増やすか、いずれかの方法が採られる。江ノ電の場合は日中12分毎に列車が走っているが、これを仮に10分毎とするだけで輸送力は20%増える。別の方法では、4両編成の列車を5両編成とすれば輸送力は25%増えるが、いずれも現状の設備では不可能だ。

単線区間に行き違い設備を作る

5両編成の列車を運転するには、江ノ電にある15の駅のホームを延伸することが必要となるが、ホームの延伸に対応できる駅は皆無に近い。

駅周辺の土地を買収する必要があるうえに、列車の行き違いを行う駅では5両編成の列車がすれ違うことできるように、線路の用地も確保しなければならない。江ノ島の隣にある腰越という駅ではホームが3両分しかなく、1両はホームからはみ出して停車しているくらいで、列車を長くする方法は不可能ではないにしろ、困難を極める。また、車両を大きくすることも難しく、ホームの延伸に加え、トンネルの改修や車両の総取り替えも必要となるので、最も非現実的なアイデアといえるだろう。

仮に江ノ電の輸送力を増やすとなれば、列車本数を増やす方法が現実的となるだろう。江ノ電は全線が単線で、途中の鵠沼・江ノ島・稲村ヶ崎・長谷に加え、鎌倉高校前~七里ヶ浜間にある峰ヶ原信号場という場所で列車の行き違いを行っている。運転間隔が12分と決まるのは、隣の行き違い場所まで6分で走り、行き違った列車が6分かけて戻るからだ。

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