香川県の「ゲーム規制」は正しいと言えるのか 「アイテム課金」とゲームを履き違えている
ちなみにネット依存に関する8項目の質問は、
・予定よりも長時間使用する
・制限しようとしてもうまくいかなかったことがある
・トラブルや嫌な気持ちから逃げるために使用する
・使用しないと落ち着かない、いらいらする
・熱中を隠すため、家族らにうそをついたことがある
・使用時間がだんだん長くなる
・ネットのせいで人間関係などを台なしにした、しそうになった
とあり、5項目以上該当するとネット依存が疑われるそうです。WHOの定義から比べるとかなり基準のハードルが低く感じます。例えば、これをアルコール、お酒に言い換えたとき、当てはまる項目が5項目以上該当した場合、アルコール依存と定義されて納得する人はいるのでしょうか。
香川県の条例の素案では、依存症の定義も示されていませんし、改善されなかった場合の対処も示されていません。そこを曖昧にして、ゲームさえやめさせればいいというように見えてしまいます。
香川県社民党県議会議員の高田よしのり氏は個人ブログで、「ゲームをすればするほどのめり込むようにゲームは作られていて、ゲーム会社の術中にハマったモノは、空いた時間はゲームばかりするようになります」と説明をしています。しかし、これはあくまでも彼の持論であり、根拠も示しておりません。
さらにそのブログでは、ゲームそのものではなく、スマートフォンのソーシャルゲームの多くが採用しているアイテム課金から子どもを守るためにゲームを規制すると言及しており、アイテム課金こそが諸悪の根源であると述べています。つまり、アイテム課金を規制すべきところをゲームそのものに置き換えているわけです。
ゲームプレー時間を短くすることは効果的なのか
では、アイテム課金を抑制するためにゲームプレー時間を短くするというのは、効果的なのでしょうか。
アイテム課金は、その方法でしか取得できないレアアイテムも存在することがありますが、ほとんどが時間をかければアイテム課金をせずに、簡単に手に入れられます。
例えば、基本無料のPCゲームの『リーグ・オブ・レジェンド』は、使用できるキャラクター、チャンピオンが140体ほどいますが、これらを獲得するにはゲーム内通貨IPが必要になります。IPはゲームをプレーすることで稼ぐことができますが、相当数の時間をかけないとチャンピオンを獲得できるほどのIPを貯めることはできません。そこで、IPをリアルマネーで購入することで、その手間を省き、手っ取り早くチャンピオンを獲得できるわけです。つまり、アイテム課金を防ぐにはゲームプレー時間を長くするしかないわけです。
1日60分しかできなくなってしまえば、他県のプレーヤーよりも後れをとってしまうことは確実です。それに追いつくためには課金するしかないわけです。ネット・ゲーム依存症の条例を推進する人たちは、課金を抑制するための施策が課金を促す結果になってしまうことを理解していないと言えるわけです。
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