中野 でも、それに安倍首相が乗っているとしたら、危険な話ですよね。成長戦略を実現していくうえで、日本にとって大事なのは外交じゃないですか。その外交が今、まさに、反米、反中、反韓ムードの中で、どん底状態にあるわけです。
藤野 確かに、今の日本の外交は最悪。
渋澤 でも靖国に行くまでは、僕は安倍首相の外交を評価していました。今までの歴代首相が行かなかった国にもちゃんと行っていますしね。だから、非常にもったいない感がある。ようやく中国や韓国とも、少しだけ雪解けムードかな~というところに持ってきて、靖国参拝ですからね。
確かに、国を代表するトップが、母国のために命を捧げた兵の魂を敬うことができないというのは変な話です。でもね、何もこのタイミングで、米国が明らかに「行かないでよね」というサインを送っているところでしたから、「おいおい、何やっちゃってんの」と思うのも当たり前。国民の一部や党内の勢力に応えたいという意図があったと思いますが、靖国参拝までの経緯を見ると、とてももったいないことをしたという気がします。あのタイミングでは、経済成長というメッセージを送ってほしかったな。
中野 今、世界的に見ても近隣諸国とのいがみ合いを解消しようという方向に動いているのに、なぜか日本と近隣諸国だけはいがみ合っている。そうこうしているうちに、中国ではフォルクスワーゲンがトップシェアを握ってしまっている。確かにもったいないですよね。
日本の企業は大きなビジネスチャンスを逸しているわけです。なんだか第三の矢が逆向きに飛んできているような気がします。それに、外交上の「失敗」が輪をかけているという感じです。
渋澤 やっぱり、現状に満足しているマイルドヤンキーの方々が、現状に満足できず、不満足感を覚えるようになってからでないと、日本の成長戦略は動き出せないのかもしれません。日本が成長戦略にコミットしたということは、現状維持派にとって今はよくても、長い目でみれば厳しい環境に置かれるということでしょ。
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