「世界のチョコ」パッケージ視点からみる新潮流 サロン・デュ・ショコラを賑わせたのは?
東京・新宿で開かれているフランス・パリ発、チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ2020」。世界中からチョコレートのブランドが集結する祭典だ。バレンタインデーを前に、79人のパティシエが集結した。
私は長年、テレビのニュース番組や情報番組の制作に携わってきた中で、バレンタインデーが近づくと毎年のようにチョコレート関係の話題を取材し、番組で取り上げてきた。
しかし、いつもチョコレートそのものについて取り上げることが多く、パッケージに注目して取材をしたことはあまりなかった。
ここのところ、チョコレートは嗜好品として価値が上がると同時に、ギフトとしての存在感も急速に増しており、非常に美しいパッケージングのものが増えてきている。こうした「パッケージ込みの、総体としてのチョコレートギフト」という観点から、サロン・デュ・ショコラの前夜祭を取材し、さらには専門家にも話を聞いた。
全体的な傾向として言えることはパッケージに採用されているのは「透明なプラスチックトレイが多い」こと。さらに海外のブランドでは、非常に凝ったつくりの紙製のトレイも多く見られた。
日本人女性シェフこだわりの紙製ボックス
まずは、イタリア・ピエモンテ州の「ユミコ・サイムラ ピッコラ・パスティチェリア イタリア」。
注目したのは、紙製のボックスだ。
ユミコ・サイムラシェフは、2017年にロンドンのAcademy of Chocolateパッケージ部門で、自らデザインしたボックスが金賞を受賞したこともあり、パッケージには特別なこだわりを持っているそうだ。
「自分で絵を描いて、ミラノの箱屋さんに通ってボックスを作っています。自分の趣味でもあるので、自分のやりたいことを全部やって、紙も選んで、出来上がりをいつも楽しみにしています」
サイムラシェフが最もおすすめするパッケージが「RINASCITA」だ。
イタリア語で再生を意味するこちらのパッケージは「カカオの木が卵の中に入っていて、卵はすべて同じ形ではない自然の美しさがある。チョコレートも、同じことをやっていても自然のものを使うと同じ味にはならないので、毎回毎回生まれ変わっているような気がする」というシェフの深いテーマが込められている。
紙の質感や、シェフ自筆のイラストが温かい印象を与えるパッケージだ。バジルとトマトのボンボンは、イタリアの食材の魅力に溢れた個性的で斬新な味だった。
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