「世界のチョコ」パッケージ視点からみる新潮流 サロン・デュ・ショコラを賑わせたのは?
続いて、フランス・カンヌの「ジェローム・ドゥ・オリヴェラ」。
こちらの「ショコラ アソート アグルム」は南仏の8種類の柑橘をテーマにしている。会場でも多く見られた透明なプラスチックトレイが使われていた。
「やはり何といっても、チョコレートをきっちり際立たせたかったので、トレイには存在感を消してほしかった。しかし、形はかなりユニークで繊細なので、それを保護するために最適なのは、透明なプラスチックトレイだったんだ」とジェローム・ドゥ・オリヴェラシェフは話す。
そして、「フランスでは透明なプラスチックトレイがはやっているのか?」と質問すると、オリヴェラシェフは「フランスでは今、できるだけプラスチックは使わないのが社会の潮流。だからと言って、すぐに代わりになるトレイがあるわけではないのだけれど」という答えが返ってきた。
プラスチックによる海洋汚染の問題などから、脱プラスチックが進むヨーロッパ。
すでにフランスのシェフは、プラスチックの代わりとなるトレイの模索を始めなければならないという問題意識を持っていた。
ルビーチョコレートを挿し色に
続いて注目したのは、辻口博啓シェフの「ル ショコラ ドゥ アッシュ」だ。黒いプラスチックトレイを非常に効果的に使い、美しく見せていた。
「黒は、お店のテーマカラーのひとつです。僕はルビーチョコレートを広めようと思っているので、今年の『アッシュ セレクション』にはルビーチョコレートも入れて、ケースにはピンクを挿し色に入れました」
現在ブームとなっているルビーチョコレートだが、「ルビーチョコレートはまず色がとても可愛いですし、味わいも酸味を帯びて美味しいので、チョコレートの新しい可能性を開くと思っています」と辻口シェフは言う。
ル ショコラ ドゥ アッシュでは、お店のテーマカラーとして「黒とオレンジ」を使っている。
それはお店で人気の「オランジェット(オレンジの皮を砂糖漬けして、ショコラでコーティングしたもの)」をモチーフとしているということだが、今年はルビーチョコレートを「推す」ためにあえて挿し色としてピンクを選んだという。
チョコレートのトレイなどの金型を数多く手がけ、パッケージのプロである城南村田の青沼隆宏社長は、「トレイとケースの巧みな組み合わせが美しいパッケージの要ではないか。チョコを引き立たせる控えめなトレイと、素材やデザインの自由度が高いケースをいかに組み合わせるかということ」と解説する。
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