タワマンにも参画、不動産はJR北海道を救うか

民営化から30年超、暗中模索の不動産開発

順調な不動産開発にあって、唯一の蹉跌が分譲マンションだった。1992年10月、当時不動産開発を担っていた北海道ジェイ・アール不動産(現・北海道ジェイ・アール都市開発)は、札幌市内に42戸の分譲マンション「ノルテ・ヴィラ北野」の販売を開始した。ところが、当時バブル景気はしぼみつつあり、さらにマンション近郊に延伸されるはずだった地下鉄も計画が凍結されてしまう。

そうして1戸も売れないうちに販売を取りやめ、JR北海道本体が社宅として買い取った。結局分譲マンションは札幌市内で北野を含む計3棟を開発したのみで、「販売ノウハウを確立する前に、撤退してしまった」(生田氏)。今回のタワマン開発は、JR北海道にとっては久方ぶりの分譲マンション事業なのだ。

社有地活用からの脱却

JR北海道の不動産開発には、1つのボトルネックが存在する。これまで開発の素地となってきた社有地が枯渇しつつあることだ。

商業施設「エスタ」と手前の駐車場を一体開発する。右手に見えるJRタワーを超える高さ230メートルとなる計画だ(記者撮影)

足元で進行中の不動産開発も、やはり社有地頼みだ。札幌駅前で開発が進む「北5西1・西2地区」では、地上50階建て程度の超高層ビルが計画されているが、跡地はJR北海道が保有していた駐車場や商業施設だ。

札幌市内で現在開発中のサ高住「ブランJR」(2棟)はいずれも独身寮の跡地。旭川駅前で開発中の大型複合ビルも、敷地は駅舎のセットバックによって誕生したものだ。

「社有地の活用には限界があり、今後はそこを変えていかなければならない」(生田氏)。分割民営化直後の一時期を除けば、JR北海道は用地仕入れの経験に乏しく、ノウハウの蓄積はこれから。今回のタワマン開発に参画したのも、大京、住友不動産という業界大手から、商品設計や販売のノウハウを学ぶという狙いがある。

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