タワマンにも参画、不動産はJR北海道を救うか 民営化から30年超、暗中模索の不動産開発

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そんなJR北海道にとって道しるべとなりそうなのが、2016年10月に上場を果たしたJR九州だ。いわゆる「三島会社」として、本業に頼れなかった点では北海道と共通点がある。

JR九州は首都圏にも進出

JR九州の不動産開発も、順風満帆だったわけではない。1989年に福岡市内で1号物件を開発した分譲マンション事業においては「当初4名でスタートしたが、建物の商品企画や建築に追われ、用地取得方法の改善やノウハウの蓄積が不十分だった」(JR九州)。JR北海道同様、バブル崩壊後は開発スピードが低迷し、年間1棟にも満たない供給が続いた。

それでも、博多を筆頭に九州全域や首都圏にも開発の網を広げ、供給戸数は2019年時点で累計7655戸に達した。近年は収益物件の取得も積極化し、2011年3月の「赤坂山王センタービル」を皮切りに、都内ではこれまで4棟のビルを取得した。

九州に比べて商圏の狭い北海道だが、北海道新幹線の開通やニセコリゾートの隆盛など追い風も吹く。幸いにして道内の不動産市況は堅調だ。オフィス仲介の三鬼商事によれば、札幌中心部のオフィス空室率は1.91%とかつてないほどに低い。地元の不動産業者によれば、JRタワーの賃料は坪2.3万円という高水準で動いているようだ。

冒頭のタワマン開発において「先生役」となった大京は、「JR北海道は道内で非常に大きなブランド力を持っており、物件の認知度向上など相乗効果が期待できる。車内広告の掲示やJRタワーでの契約会といった協業も進めている」としている。国からも経営改善を急かされている中、地元企業というブランド力を磨けるかがJR北海道の命運を握りそうだ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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