タワマンにも参画、不動産はJR北海道を救うか 民営化から30年超、暗中模索の不動産開発

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苗穂駅前で開発が進むタワーマンション(記者撮影)

札幌駅からJR線で1駅。苗穂駅から目と鼻の先で、地上27階建てのタワーマンション「ザ・グランアルト札幌 苗穂ステーションタワー」が建設中だ。昨年オープンしたモデルルームの看板には、大手デベロッパーの大京と住友不動産に加えて「北海道旅客鉄道株式会社」の文字。このタワーマンションには、JR北海道も売り主として参画している。

建設地はもともとJR北海道が保有する土地だった。運転手などを育成する研修センターが建っていたが、老朽化に伴い移築が決まり、敷地はマンション用地として売却されることとなった。だが、「マンション開発のノウハウを勉強したい」(JR北海道の生田真大・開発事業本部副本部長)という意向から、1割を出資しタワマン開発に参画することとなった。

業績を支えるJRタワー

2019年3月期連結決算では418億円の営業損失に沈むなど、苦しい経営が続くJR北海道。本業の鉄道事業が伸び悩む中、活路を見いだそうとしているのが不動産事業だ。2019年4月に発表した長期経営ビジョンでは、ビル賃貸や小売店舗・ホテル運営といった開発関連売上を、2018年度の800億円から2031年度には1200億円にまで伸ばす目標を掲げた。

自動車、パソコン、墓石……。いずれもJR北海道がかつて販売していた商品だ。1987年の分割民営化直後から、JR北海道は鉄道部門の黒字化が難しいと考え、収益多角化のため新規事業の立ち上げに奔走していた。相次ぐ子会社の設立によって、グループの合計社数は約40社にも達した。駅ビルやホテルの開発をする不動産事業も、その中の1つだ。

開発の基本は、社宅などの遊休不動産や駅舎の高架化によって生まれた土地の活用になる。筆頭は2003年、札幌駅高架化に伴う再開発によって誕生した「JRタワー」だ。空をかくようにそびえるビルは高さ173メートルと、当時は東北以北で最高層を誇る「巨艦」と評された。ビルを運営する札幌駅総合開発の業績は34億円の営業黒字(2019年3月期)と、現在でも不動産事業はおろかグループ全体の屋台骨となっている。

同様に帯広駅の立体交差事業に伴って生まれた開発用地を生かし、1997年6月に「ホテルノースランド帯広(現・ホテル日航ノースランド帯広)」を開業。現在は札幌や旭川など9棟(うち開業予定2棟)となり、経営主体のJR北海道ホテルズの前期業績も8.7億円の営業黒字だ。

社宅の跡地を活用したのが、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)「ブランJR」だ。「雪が降る中での買い物や雪かきから開放されたい」というニーズを拾い、2012年3月に札幌市内で「ブランJR札幌」を開業。運営はミサワホーム北海道に委託し、小樽などを含めた既存の3棟はほぼ満室稼動が続いている。

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