年収1220万円超え富裕層が親子ですべき節税策 20歳以上の子供がいるならやったほうがいい

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年収1300万円の会社員のケースでみると、2019(令和元)年分までの給与所得控除は220万円で、給与所得は1080万円です。そこから社会保険料控除(厚生年金保険料・健康保険料・雇用保険料)約148万円、基礎控除38万円、特定扶養控除(大学生の子どもの控除)63万円を引いて課税所得は831万円になります。所得税率は23%です(生命保険料などの控除は計上していません)。

大卒の初任給の平均は賃金構造基本統計調査(2018年)によると、年収ベースで248万400円ですが、給与所得から社会保険料控除と基礎控除を差し引いた課税所得は83万440円。所得税率は5%です。社会人になった子どもが自分で国民年金保険料を納めるのに比べて、さきほどの年収1300万円の会社員の親が納めると、所得税の還付率は18%(23%から5%をマイナス)高くなる計算になります。

国民年金保険料は令和元年度(2019年4月~2020年3月まで)で月額1万6410円ですから年間19万6920円です。18%の還付率で3万5445円ですから国民年金保険料の2カ月以上に相当します。

「2年前納」すれば年金保険料が割引される

国民年金保険料について「子ども任せ」にしていると、大学卒業後、社会人になってから「未納」となる可能性もあります。国民年保険料は未納が10年を過ぎると、納めること自体ができなくなります。

また、納めるタイミングによっては保険料を多く納めることにもなります。猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を納める場合、承認当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。20歳のときに大学2年生であれば、社会人1年目から追納を行わないと保険料が増額されていくことになります。

一方で、2年前納すれば保険料は割引されます。2020年1月現在、いちばんお得な割引があるのが「口座振替による2年前納」です。大学生の子どもの国民年金保険料を親が納めるのであれば、この制度を使ってコスパを最大化したいところです(2年前納には締め切りがあり、例年2月末までに申し込みをする必要があります。来年の還付申告に向けて今から行っておきたいところです)。

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