麻生氏「単一民族」発言がONE TEAMとは遠い訳 多文化の認め合いと閉鎖性はまったく逆の話だ

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一方で、ラグビーの話を引き合いに出しながらも、残念な発言をした政治家がいる。麻生太郎副総理兼財務大臣だ。1月13日に地元・福岡県の直方市で開かれた国政報告会でのことだ。

「(日本代表選手の出身国は)ニュージーランド、韓国とか、どこか、いろいろな国がある。結果的にワンチームで日本がまとまってるでしょ。ぐおーんとやって勝ったわけ。『勝てっこない』と言われて(いる中で)勝って……、そして昨日からまたラグビーが始まったよ。観客動員数、今までの倍。いいことじゃないですか」

トップリーグの観客が増えていることに触れ、続けて、外国にルーツを持つ選手たちの話になった。

「インターナショナルになりながら、きちんと日本(代表)は日本を大事にし、日本の文化を大事にし、日本語をしゃべる。そしてお互いにがんばろう、ワンチーム。日本はすげーというのでやって、それで世界のベスト8に残った。いいことですよ。私はそういった意味では、ぜひ日本という国がこれからもインターナショナルな世界の中で、堂々と存在感を発揮して、やっぱり日本という国は偉ぇ……」

この部分はほとんど同意できる。だが、問題とされているのは、以下の部分だ。

「……やっぱり日本という国は偉ぇ。2000年の長きにわたって1つの国で、1つの場所で、1つの言葉で、1つの民族、1つの天皇という王朝、126代の長きにわたって1つの王朝が続いているなんていう国はここしかありません」

古代史を学べば日本各地に大和民族以外の部族がいたことは明らかだし、その大和民族も文化人類学的に見れば北方や南方、さまざまなルーツの人たちの混血であることは母系DNAの研究からも明らかになっている。また、海外にルーツがある日本人も多いし、今や日本には300万人に迫るほどの外国人が暮らしている。

飲み屋の会話レベルではスルーされるかもしれないが

正直、日本民族単一論というのは、飲み屋の会話レベルではスルーされてしまうような話かもしれないが、現実を見れば決してそんなことはなく、すでに多くの外国人を受け入れている国の副総理の発言としてはいかがなものだろうか、と思うのである。

それぞれの個性や多様性を認めながらワンチームになれた日本代表が「すげー」のであって、“日本すげー”の着地点を閉鎖的なファンタジーと結びつけてはいけない。まったく逆の話だ。

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