麻生氏「単一民族」発言がONE TEAMとは遠い訳 多文化の認め合いと閉鎖性はまったく逆の話だ

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副総理の発言として適切と言えるのだろうか(写真:アフロ/AP、撮影:尾形文繁)

ラグビー・トップリーグが盛り上がっている。1月18日に行われた第2節「トヨタ自動車―パナソニック戦」では観客数が3万7050人を記録。トップリーグ史上最多の数字だそうだ。

そんな中、麻生太郎氏がラグビーを引き合いに出しながらある失言をしたという。どういうことなのか。

昨年はワールドカップが開催され、日本代表は悲願の決勝トーナメント進出を果たした(そのスコットランド戦のテレビ視聴率は瞬間最高で53.7%を記録)。日本人の多くは今回のワールドカップを通じて初めてラグビーの魅力に気づかされたのではないだろうか。

かく言う筆者もにわかファンの1人だ。屈強な選手たちが全力でぶつかり合う迫力に魅せられたし、試合終了の笛が鳴れば敵味方なく讃え合う爽やかな精神にも引かれた。何より日本代表の強さと多彩な試合展開にワクワクした。トップリーグのシーズン中に1度は試合に足を運びたいし、次のワールドカップ・フランス大会はチャンスがあればぜひ現地で観戦してみたいとさえ思う。

ラグビー日本代表に見た“新しい日本”

2019年の年間流行語大賞には、ラグビー日本代表が掲げていた「ONE TEAM(ワンチーム)」が選ばれた。日本、韓国、ニュージーランド、オーストラリア、トンガ、サモア、南アフリカ共和国……。昨年のラグビー日本代表は招集された31人のうち、実に15人が海外にルーツのある選手だったからだ。

キャプテンのリーチ・マイケル選手は、外国人選手もチームになじめるように、合宿の合間に、君が代の歌詞にもある“さざれ石”をチーム全員で見学しに行ったり、日本の歴史を勉強するなど、日本の文化を土台に「ワンチーム」になろうとしていたという。

リーチ選手と交替でキャプテンを務め、決勝トーナメントでは母国・南アと対戦することになったピーター・ラブスカフニ選手は記者会見でこう断言した。

「(私は)日本国民を愛しており、ここが新しい故郷。日本のみなさんに(われわれ日本代表を)誇らしく思ってほしい」

このラブスカフニ選手の発言やラグビー日本代表の姿に、多くの人が多様性を認め合いながらバージョンアップしていく“新しい日本”を見たはずだ。

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