老後資産を減らさないで済む3つの「お金延命法」 ムダな投資に注ぎ込むと「資産寿命」は縮む

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むろん、生活費がどれくらいかかるかは、その人がどんな暮らしをしたいかによって大きく変わってきます。「定年後は毎年のように海外旅行に行きたい」ということであれば、公的年金だけでは難しいでしょう。そんなふうにお金のかかる生活をしたいのであれば、年金に加えて自分でお金を用意しておくことは必要です。

ただ、その場合も「投資が必要」というわけではありません。冒頭で触れた『資産寿命』という本も、私がかつて証券会社で働いていたことから、投資を勧める本だと思われるかもしれませんが、私自身、「資産寿命」を延ばすために必ずしも投資が必要とは思っていません。投資以外にも、さまざまな方法があります。「お金の余命」は知恵と工夫次第で、長生きさせることが十分可能であると知ってもらいたいのです。

3本柱は、健康維持と収支管理と社会保険の知識

何よりも大切なのは、健康を維持し、できるだけ長く働けるようにすることです。そして、収入だけを考えるのではなく、収支をきちんと管理すること、さらには社会保険の知識を得ておくこと。この3つがまず必要だと思います。投資をするのは4番目か5番目で十分です。

『資産寿命 人生100年時代の「お金の長寿術」』(朝日新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

社会保険の知識がなぜ必要かといえば、私たちは知らない間に社会保険料をたくさん負担してきたのですから、それに見合ったサービスを受けられるのは当然だからです。ところが、多くの人たちが社会保険の給付制度やサービスを知らず、ムダなお金を払って民間の保険に入っています。もったいない話です。

投資も、それ自体は決して悪いことではありませんが、先の見えない不確実なものにお金を委ねるわけですから、自分でリスクを取る覚悟が必要になります。リスクを取れない人は、投資をする必要などありません。

「老後の安心のためにも資産寿命を延ばしましょう」という金融機関の誘いには安易に乗らないことです。健康維持、収支管理、社会保険の3つの基本を踏まえたうえで投資をする場合も、自分でよく勉強してから投資すべきです。「資産寿命」を延ばす最適な方法は、投資という「結果の不確実なもの」ではありません。それをしっかり理解しておくべきでしょう。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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