老後資産を減らさないで済む3つの「お金延命法」 ムダな投資に注ぎ込むと「資産寿命」は縮む
「経済的なゆとりがなくても、投資信託であれば100円から積み立てできる」という人もいますが、それは単に「仕組み上可能になっている」というだけの話です。毎月100円ずつ積み立てて10年経っても1万2000円にしかならないのですから、これではとても資産形成とはいえません。それなりに資産形成をしようと思うと、最低でも毎月1万円以上の積み立ては必要でしょう。
しかし、日々の暮らしの中からそれだけの金額を投資に回す余裕がない人もたくさんいます。そんな人たちにとって、あの騒動はマイナスの結果しかもたらしていません。「真面目に働いても、2000万円なんて貯められない。もう、どうしようもないな」などと、諦めに近い気持ちになった人たちも少なくないでしょう。そんな人たちが、諦めの気持ちから怨嗟(えんさ)の念を強めてしまうと、社会の分断が起こりかねません。それを私は懸念しています。
あまり知られていない社会保険の「防貧」機能
今、行政が行うべきことは「投資をしましょう」とピーアールすることではなく、年金や医療といった社会保険について正しい知識を広めていくことです。残念ながら「年金不安」が、多くの金融機関にとっては自社の金融商品を販売するための宣伝文句となり、野党にとっては政府を攻撃するための手段として使われています。
しかしながら、年金に限らず、日本の社会保険は、多くの人が言うほど不安な制度ではありません。生活保護などの制度が、すでに貧困に陥ってしまった人を救う、いわゆる「救貧」の役割を果たすとすれば、通常の社会保険は貧困に陥ることを防ぐための手段、すなわち「防貧」の機能を持っているものです。
実際には公的年金だけで生活している人もたくさんいます。私自身、定年退職して起業したものの、まったく仕事のない頃がありました。そんなときも一部支給されていた年金のおかげで、ぜいたくはできなかったものの普通の暮らしをすることは可能でした。
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