認知症介護で崩壊寸前の家族を救ったきっかけ 介護にマニュアルなし!介護から「快護」へ
必ずしも頼りにならなかった介護施設
2017年に京都ADI(国際アルツハイマー病協会)国際会議で、認知症の人を介護する家族を代表して演壇に立った女性がいた。京都府在住の小田尚代さん(60)だ。わずか15分ほどの発表だったが、彼女の口から出た「介護より“快護”」という言葉がずっと印象に残っていた。介護にはどこか、暗い、辛い、汚いというイメージがある。それを「快護」と言い切る彼女にぜひ会ってみたいと思って京都に向かった。
小田さんの夫・修一さん(68)がアルツハイマー型認知症と診断されたのは2007年。同じ内容の電話を何度もするのに覚えていないというので、おかしいと思って病院で検査をしてわかった、のだが……。
診断されるとすぐに休職を命じられ、半年後には退職させられたのである。診断の翌年には感情のコントロールが難しくなり、2年ほどもすると、言葉が出なくなってきた。
機嫌のいいときはアイロンかけもしれくれるのに、自分の言いたいことを伝えられない歯がゆさ、もどかしさからか、なんでもないことに大声で怒鳴ったり、家具や台所を拳で叩きつけたりした。修一さんの混乱を受け止められない家族は、ただ怖くて一目散に逃げるしかなかったという。
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