2カ月でパソコン販売6万台! 年商2000億円「大学生協」の強さのヒミツ
さらに「04年の国立大学法人化で、環境が激変。国立大学が自立性を発揮し始めた影響が、大学生協にも及び始めた」(和田氏)。その一例が、民間のコンビニエンスストアの構内出店の動きだ。現在40生協がコンビニと競合している。「生協が苦戦しているのは数カ所にすぎない」と大学生協連は話すが、今後、構内市場での競合は激化しそうだ。
保護者への安心感武器に食堂では先払いカードも
対する大学生協も手をこまぬいているわけではない。
大学生協の粗利率は平均20%前後。この利益を支えるのが、粗利率50~55%にも上る食堂だ。大学生協連全体で年間6000万食が利用され、売り上げでは全体の15%を占め、08年度も前年比4・8%増と右肩上がりの成長が続く。実は売り上げ、粗利率、成長率とも、大学生協の経営はまさに食堂が支えている。
最近の生協食堂には、昔の汚い、暗いといったイメージはない。こざっぱりしていなければ学生は寄りつかない。食堂の競争力強化を狙った数千万円規模の設備投資は今や必須だ。償却負担をこなすために、生協食堂は薄利多売に徹している。
たとえば、慶應義塾大学日吉キャンパスでは、食堂の一角にイタリアン料理の専門店、イタリアントマトが入居している。こうした専門店を招聘して、食堂全体の魅力を上げていこうという試みもなされている。
05年度に投入された「ミールカード」(地方の50大学を中心に導入)も食堂の競争力強化の切り札だ。ミールカードは年間12万~18万円使える食堂の前払いシステム。新年度に保護者が子どもに買い与えるケースが多い。食堂の利用履歴をICカードに保存し、毎月、生協側から保護者に履歴を郵送する。保護者から見れば、わが子の毎日の食事の心配がなくなり、登校状況もチェックできるのがウケている点だ。