台湾人と中国人の考え方が天と地ほど違う訳 2020年の「中台関係」は波乱含みで推移する

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2004年時点では確かに世界一だったのに、1位であるドバイの化け物はさておいて、この間にこれだけ高層ビルが新しく建っているのだ。
    
2位:上海中心 (上海)      632m 2015年
4位:平安国際金融中心 (深セン) 600m 2016年
5位:高銀金融117 (天津)    597m 2016年
8位:CTF金融センター (広州)  530m 2016年
9位:天津CTF金融センター(天津)530m 2017年
10位:CITICタワー (北京)   528m 2018年

いやはや恐れ入った。ここ数年の間に、大陸側に「台北101」を超える新しい高層ビルが6つも誕生しているのだ。こんな事実を突きつけられて、台湾の人たちの心中はいかばかりか。まるで中台の経済関係の逆転を、見せつけられているようではないか。

2010年頃から中台の力関係が変わった

このビルが誕生した2000年代は、まだまだ中国に対して台湾の方が優位であった。中国は常に外国の技術や投資を求めており、台湾のハイテク企業は優遇措置を受けて、大陸に工場をどんどん建てた。2007年に登場したアップル社の初代iPhoneも、鴻海の中国工場がなかりせば、あれだけの成功を収めることはなかっただろう。そして台湾の若者にとっては、「大陸に渡ればチャンスがある」という時代が長く続いた。

「台北101」からの眺め。普通と言えば普通だ(筆者撮影)

2010年に中国が日本を抜き、「世界第2の経済大国」に浮上した頃から中台の関係が変わり始める。この年、国民党の馬英九政権は中国との間で、事実上のFTAとも言うべきECFA(Economic Cooperation Framework Agreement=両岸経済協力包括合意)を締結する。なぜか途上国である中国がより多くを譲歩し、先進国である台湾がよりメリットを得るという不思議な貿易・投資協定であった。この頃から、「台湾はひょっとすると、中国に呑みこまれてしまうのでは…」という不安が募り始める。しかし2012年の総統選では、馬英九は民進党の蔡英文候補の挑戦を軽く退けて再選したのである。

その後、馬英九政権は中国とのさらなる経済連携強化を目指し、「海峡両岸サービス貿易協定」を締結する。ところがこの法案の批准が難航する。2014年3月、法案への反対デモに参加した学生たちが、台湾の国会である立法院を占拠してしまう。世にいう「ひまわり学生運動」の始まりである。

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