7年目の「ななつ星」、予約取れない高倍率の秘密 経験積み重ね、コースにも趣向を凝らす

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当初の3泊4日コースは博多から由布院、大分経由で隼人まで2日間を列車で過ごし、霧島温泉に宿泊。3日目からは鹿児島、肥薩線経由で阿蘇へ向かい、再び大分、由布院をたどって博多に戻っていた。途中1日目の由布院では付近を3往復して、列車を外から撮影したり夕食時に移ろう風景を提供するなどの試みも行われた。

1泊2日コースも博多から長崎へ向かった後、諫早との間の往復を挟んでから大村、佐世保線経由で阿蘇へ向かい、2日目は大分、由布院経由で博多に帰着していた。

雄大な由布岳を背負って走る列車は威風堂々とした貫録を見せる(野矢―由布院間、撮影:久保田 敦)

しかし、ツアー参加者の多くはこまめに観光地に立ち寄ったり伝統芸能を鑑賞したりといった、用意されたイベントに参加するより、個室にとどまって無為のひとときを過ごしたり車窓の景色を眺めたり、あるいは乗客同士やクルーとの交流を好む様子が浮かび上がってきたことから、方向性が少し修正されている。

また、もとより個室は芸術品・工芸品に囲まれた客間であり、食事の際は丹精込めた食材を用いた繊細な料理で見知らぬ生産者や、そして研鑽を積んだ料理人とも向き合える。

震災の影響受けるも阿蘇立ち寄りを復活

2015年3月に1泊2日コースの長崎方面が修正されたのに続いて、翌年4月からは3泊4日コースの由布院付近の往復が消え、霧島温泉泊の後の3日目は深夜の肥薩線経由から午後に肥薩おれんじ鉄道をたどるルートとなり、東シナ海を堪能することとなった。

ただし、このルートは変更直後に発生した熊本地震により豊肥本線が被災したことで、鹿児島から阿蘇へとたどるコースや時間帯が変わり、東シナ海の夕景を見る機会はなくなった。熊本からまっすぐ北上し、柳川観光が織り込まれている。もちろん1泊コースの2日目に予定された阿蘇も訪問できなくなった。コース変更の後も、関係先が急遽受け入れ態勢を整えて遜色のないツアーが営まれている。

災害の影響等ではなく、純粋に新たな経由先を求めた変更として大きかったのは2018年3月。3泊4日コースの1日目を北九州とし、復原された門司港駅に立ち寄る。それから日豊本線を下り大分から阿蘇に入って朝まで停まる。熊本地震以来、立ち寄れなくなっていた阿蘇駅レストランでの食事がコースに復活した。

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