7年目の「ななつ星」、予約取れない高倍率の秘密 経験積み重ね、コースにも趣向を凝らす

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乗客の層は少しずつ厚みを増してきている。運行開始当初に評判が広がったのは国内で、2~3年はほぼ日本人ばかりだった。対する海外は、九州自体の知名度が低く中国と勘違いされるような状況であった。

『鉄道ジャーナル』2020年3月号(1月21日発売)。特集は「列車の旅を愉しむ」(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

しかし、列車のグレードは世界トップレベルを目指すものであったから、海外でのプロモーションも展開してきた結果、それが浸透してきてじわじわと増えている。今は14部屋のうち海外枠として3部屋を設けており、台湾・香港・中国といった東アジアからばかりではなく、欧米からの応募もある。それもキャンセル待ちが出る状況にある。JR九州のホームページ等に掲載されている自社募集分のほかに、内外旅行会社によるチャーター利用もある。

最近は他社の「四季島」や「瑞風」もあり、競争関係にあるようにも見える。しかし、こうした列車の旅を楽しむ乗客層は1つだけに乗って終わるということはない。これまでの乗車で親しくなったクルーのもとには「四季島に乗りました」「瑞風に乗りました」、あるいは「海外の列車に……」との報告が、感想やお土産とともに少なからず届くそうだ。これまでの「ななつ星」の最高乗車記録は8回。「14部屋全部に乗りたい」という声も聞かれる。

誰もが満面の笑顔

そうしたリピーターから伝えられるのは、「ななつ星」のクルーや地上部隊を含めたスタッフのもてなし、家族のような親近感であり、車窓や旅の先々での飾らない歓迎ぶりであると言う。

「“ななつ星”は、イメージからするとスマートな魅力と違ってアナログで、さまざまな人と触れ合うことができる九州のローカルがにじみ出ているのかと思います」(古宮氏)

ツアーパンフレットには豪華な車内や食事、旅先の高級旅館とともに、スタッフや、駅で交歓する人々の写真まで載っている。その誰もが、にこやかを通り越して満面の笑顔というのが1つの象徴かもしれない。

なれば博多駅で待ち合わせる乗客は、リピーターも初めての人も区別なく、この列車で過ごす濃密な時間の豊かさを楽しみに集まった人たちであるのだろう。決して豪華さだけでないことが、「ななつ星」の真価でもある。

鉄道ジャーナル編集部

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車両を中心とする伝統的な鉄道趣味の分野を基本にしながら、鉄道のシステム、輸送の実態、その将来像まで、幅広く目を向ける総合的な鉄道情報誌。創刊は1967年。

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