7年目の「ななつ星」、予約取れない高倍率の秘密 経験積み重ね、コースにも趣向を凝らす
2日目の宿泊先は大分回りで由布院に向かい当地の格式ある名旅館に。さらに3日目は日豊本線を南宮崎、鹿児島と南下。4日目朝を迎えて肥薩線経由で北上する途中、門司港駅舎と並んで明治の香り漂うスイッチバックの大畑駅で小休止――。JR九州ならではのプランだろう。
1泊2日のルートは2015年から変わらず、博多を出て有田、佐世保と回って長崎へ。そのあとは車中泊となり翌朝には鳥栖を出て久留米から久大本線豊後森。ここでも整備された旧豊後森機関区の扇形庫や転車台の遺構が見学先とされ、由布院を散策してから博多へ、となっている。
これまでの6年間では、2016年10月から初の長期の定期検査で工場に入り、2017年8月に運転を再開した。車内外に磨きをかけたが、内容は変わっていない。人間国宝、第14代酒井田柿右衛門氏の遺作となった各個室の洗面鉢もその美しさを保ったまま、使い続けられている。
高額のコースほど人気が高い
「価格は高くてよいのです。むしろ高いほうが価値観が高まります――と、東京の老舗百貨店担当者からアドバイスを受け、恥じぬように作り込んだ車両やコースは70点は取れる自信があった。しかし、当の価格設定だけはまったく自信がなくて、20点、10点の評価かもしれないと思った」
そう語るのは、唐池恒二社長(当時)やデザイナーの水戸岡鋭治氏と韓国の豪華列車ヘランに乗りに行き、営業部長の立場で「ななつ星」の運行開始に向け先頭に立っていた、現専務取締役の古宮洋二氏だ。
しかし、当初の3泊4日をスイートルームで1人38万円、デラックススイートBを50万円、最後部のデラックススイートAを55万円として募集したところ、最も高額のデラックススイートAが最高の人気を得た。爆発的な評判となり一時は抽選倍率が27倍にも。高額商品の価値とはどのようなものか、そのときに初めて理解できた。
そのため料理の質やサービスの内容にますます磨きをかけ、現在は3泊4日のスイートが1人75万円、デラックススイートBが86万円、デラックススイートAは96万円。それでも5~6倍の競争率となるから、空室が生まれることはない。
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