『意思決定力』を書いた本田直之氏(レバレッジコンサルティング代表取締役社長兼CEO)に聞く
そのためには、コツみたいなもの、テクニックともいえるものがある。それを知ってやれば遠回りをしないですむ。結構、日常の生活の中でトレーニングはできる。そして、大小の意思決定に意識的に取り組めば、いつもトレーニングすることになる。
--壁に当たったことはない?
いっぱいある。しかしそこで止まらない、諦めない。それも実践トレーニングだと思っている。その壁を乗り越えられたときに、また自分のステージやスキルは上がっているものだ。そうなれば、次に同じような壁が立ちはだかったときに、容易に乗り越えられる。
たとえば100メートル競走で9秒台を記録するのは、人間には無理だといわれていた。それが、9・9秒が出たあとは、その年にさらに記録更新が続く。1回超えてしまうと楽なイメージになった。このイメージは大事だ。
それを壁と意識して毎回その前でちゅうちょしていたら、超えることはできない。自分のなかで壁と決め付けると、その状況からなかなか抜け出せないものだ。
サーカスの象の話をご存知か。あれだけ大きい図体で、小さな杭におとなしくつながれている。普通の象の力からすれば簡単に逃げ出せるはずがそうしない。なぜか。子どものときからそういうつなぎ方をされているからだ。子どものときは力がない。おとなになっても、できなかったという経験があるので、もう杭を抜いて逃げようともしない。できないものと決め付けている。
人も壁があったときに、そこでできないと逃げてしまうことを繰り返していると、象の話と同じで、本当は力がついていてやれるのに、それができないことになってしまう。