不登校の「原因がわからない」ときにすべきこと 中2の娘が不登校、親にできることは?

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ところで、あなたのご質問には、「友人関係でいろいろあった」と書かれています。

中学生が境目なのですが、それ以前の年齢だと、たくさんの子ども同士で表面的にワイワイ騒いでいるのが、望ましい友人関係でした。

しかし、この年齢以降は、共通の趣味や同様の考え方を持つ少数の人と固い信頼関係を結ぶのが、本当の友人関係になります。

あなたの娘さんは、両者の間の過渡期にいるのですから、悩まないほうがおかしいのです。

「声掛けで気を付けたほうがいいこと」は不要

今「共通の趣味や考え方」と言いましたが、そのうちの「趣味」に関しては、先ほどの方法、つまり、あなたが娘さんに教えてもらう方法が、それなりに役立ちます。趣味を介したコミュニケーションの練習になるからです。

高岡健(たかおか・けん)/1953年生まれ。精神科医。岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター・児童精神科部長(写真:不登校新聞)

しかし、「考え方」に関しては、あなたが直接的にできる方法は、基本的にありません。

あるとするなら、この連載で繰り返し申し上げているように、不登校が悪いことであるかのような誤解を、まず大人たちが払拭することです。

そうすれば、間接的に、娘さんの考え方に柔軟さをもたらし、自分なりの価値観を確立することへ、向かいやすくなるでしょう。

こうやって考えてくるなら、「子どもへの声がけで気をつけたほうがいいこと」といった、肩の凝りそうな留意点は、まったく不要になります。

以上を参考にしつつ、自然に出てくるあなた自身の言葉だけを、大事にしてください。

(続く)

【プロフィール】
高岡健(たかおか・けん)1953年生まれ。精神科医。岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター・児童精神科部長。著書に『不登校・ひきこもりを生きる』(青灯社)、『引きこもりを恐れず』(ウェイツ)など多数。

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不登校新聞

日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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