転職ブームで、盛り上がる“条件闘争” あの手この手の「引き留め工作」との綱引き

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さて、この市場価値探求型で転職活動をしている人は、採用する側の会社からすれば、やっかいな存在です。現在の職場に不満が大きいわけではないので、「いざ」転職となると

・給与はアップするのか

・ポスト(役職)は上がるのか

と“条件闘争”が前提となってきます。ゆえに、転職活動で面接を通過して「あとは役員との顔合わせが終われば内定」の状態まで来ていながら

「社内で期待されている部署に異動できたので、転職活動は中止にします」

などと、会社側の期待を裏切る回答をする人がたくさん出てきます。人事部にしてみれば、さんざん苦労して社内で交渉して、給与や勤務条件を前の会社の条件からアップするように手配したのに、ガッカリな状態になってしまうわけです。

このように転職活動して内定が出る間近になって、転職を辞める理由は何か? それは「転職します」と会社に伝えたところ

「それは困るよ、君は次の人事で課長になることになっているのだよ」

と、昇進や昇給をちらつかせて転職を踏みとどまらせる“引き留め工作”が増えるからです。

私もやった「引き留め工作」

こうした取り組みは“リテンション・マネジメント”と呼ばれ、収益を生み出す社員の「定着促進」として、重要な施策とされるようになってきました。転職を引き留めたい優秀な人材が流出することは

・新たな採用などにコスト増

・顧客の流出

・企業機密・ノウハウの流出

・職場活力のダウン

などが想定されます。ゆえに、景気のいい時期に優秀な社員の流出(転職)の可能性が出てきたら、「必死で」引き留めにかかります。

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