ジャズに最適?「日本一小さい新幹線駅」活用法 "コンサートホール並みの音響"に感動の声も

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町の出生数はここ数年、1桁台にとどまり、1948(昭和23)年に開校した町内の高校(元・今別高校、現・青森北高校今別校舎)は2019年度限りでの募集停止が決まった。新幹線で青森市内の高校に通学している生徒もいる。

県外から訪れる若者が支える「荒馬まつり」=2017年8月(筆者撮影)

一方で、4年前の記事で紹介したように、町に伝わる「荒馬」を支えているのは、県外から集まる若者たちだ。毎年8月の「荒馬まつり」には200人以上が担い手として集結する。

加えて、町は東京オリンピックのホストタウンに名乗りを上げ、モンゴルのフェンシング・チームの事前合宿を受け入れている。もともと、今別町は青森県のフェンシング発祥の地でもあり、オリンピック選手などを輩出してきた。地域再生計画として「フェンシングの聖地いまべつ」拠点整備計画を策定、2018年には奥津軽いまべつ駅の北方200mに「いまべつ総合体育館」を建設した。

今別が示す日本の近未来像

全国の大半が人口減少と高齢化に向かう中、今別町の現状は、日本そのものの近未来像にも重なる。見方を変えれば、今別町は「新幹線はどのように、あるいはどの程度、人口減少社会の再デザインに役立つか」という問いの先進地でもある。音楽や祭り、スポーツと新幹線の組み合わせは、まちの将来像をどう変えうるのだろう。

道の駅いまべつ(手前)とJR津軽線、北海道新幹線。奥は建設中のいまべつ総合体育館=2018年2月(筆者撮影)

「日本一乗降客が少ないと言われる奥津軽いまべつ駅のランキングを、ワンランクずつ上げる方策を今別町役場と考えていきたい。まずは、新幹線を降りてからの目的となる、四季折々を彩る企画を模索している。それを毎月、進化させていきたい。観光客だけでなく地域住民も楽しめる、遊べる企画が要る」。角田さんは抱負を語る。

北海道新幹線の沿線をみると、新青森駅でも最近、改札内でのゴスペル・コンサートなどが開かれるようになってきた。新幹線駅を何にどう活用できるか。それがどんな未来につながるのか。「日本一小さい新幹線の町」の試みは、多くの示唆と論点を投げかけてくる。

櫛引 素夫 青森大学教授、地域ジャーナリスト、専門地域調査士

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くしびき もとお / Motoo Kushibiki

1962年青森市生まれ。東奥日報記者を経て2013年より現職。東北大学大学院理学研究科、弘前大学大学院地域社会研究科修了。整備新幹線をテーマに研究活動を行う。

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