日本人が知らない、もう1つあった「太平洋戦争」

独立から利権争いに発展してしまった悲劇

バンダ・オリエンタルは現在のウルグアイで、南米随一の良港モンテビデオ周辺に発展した地域です。17世紀後半にポルトガル人が今のモンテビデオの西に町を建設しましたが、1720年にスペイン人がトルデシリャス条約を盾に取ってポルトガル人を駆逐し、サンホセ要塞を築きました。

その後ブエノスアイレス総督のブルーノ・マウリシオ・デ・サバーラがサンホセ要塞を拡充してモンテビデオを建設しました。

フランス革命後、イギリスはモンテビデオの領有を狙って侵攻してきますが、有力一家出身のホセ・アルティガスが民兵を組織して抵抗。その後、南米各地で独立運動が起きると、彼は連邦派の一員として独立闘争に参加しました。

アルゼンチンは1816年にスペインから独立しますが、すぐに連邦主義派と中央集権派とで激しい対立が起こりました。1820年にはカウディーリョ(軍事指導者)の実力が増して連邦主義派が力をつけ、中央集権派の筆頭ブエノスアイレスを圧迫し一時中央政府が崩壊する事態となりました。

そのようなアルゼンチンの混乱に乗じて、1816年にポルトガルはバンダ・オリエンタルに軍事侵攻。1821年に完全占領しました。ブラジルは翌年にポルトガルより独立しバンダ・オリエンタルの領有を受け継いだため、紛争の火種も受け継ぐことになりました。

ブラジルVSアルゼンチン「シスプラティーナ戦争」

独立したブラジルはバンダ・オリエンタルを維持したため、アルゼンチン国内ではこれの奪還を望む声が根強くありました。

しかしまだ国内の統一ができず中央政府が不在で混乱が続き、ブエノスアイレスは「中央政府が不在の際はブエノスアイレスが外交権を行使する」という法律を制定して、強引に統一国家の体裁を整えました。同年四月、ブエノスアイレスはバンダ・オリエンタルに侵入した独立運動家ラバジェハを支援し、バンダ・オリエンタルのアルゼンチンへの帰属を宣言させました。

これに激怒したブラジルがアルゼンチンへ宣戦布告し、1825年12月にシスプラティーナ戦争が勃発します。戦いはアルゼンチン優位に進みましたが、アルゼンチン大統領リバダビアの中央集権的な政策に地方州が反発し、再び国家解体の危機に瀕します。

焦ったリバダビアは危機を脱するため急いでブラジルとの停戦を決め、勝っていたのにバンダ・オリエンタルのブラジルの領有を認めようとしました。これが知られると全土で大反対が起きてリバダビアは辞職。またもや中央政府は崩壊しました。

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