「太陽光サーチャージ」始動、総合的な視野を持った環境・エネルギー政策を
まずは分散電源からの電力流入に対応する設備の置き換えなど必要な作業とコストを明示し、公正な費用配分を決めることだ。電力会社にとって、家庭の余剰電力の買い取りは、その分の火力発電燃料費の削減につながる。単純に導入コスト面だけを考えるのはバランスを欠く。蓄電池の開発も進みつつある。精度の高い気象解析・予測システムも実用化されており、発電量の不安定性のリスクは低減できるはずだ。
また、大手電力会社に対して一定量以下でしか買電を義務づけない買い取り枠制度(RPS)も問題だ。ドイツでは00年から定額で無制限の買い取りを義務づける制度(FIT)を導入したことで自然エネルギーの普及に弾みがつき、当時4%であった供給量は、07年で14%、直近では推定で16%にまで伸びている。
もう一つ、すっかり過去の遺物と思われている太陽熱温水システムも、意外なことに北欧などで見直されている。得られる水温は40度程度と低いが、高断熱建築と組み合わせれば、家庭用の温水や暖房には十分で、灯油や電力、ガスの使用量を減らすことができる。
温暖化ガス削減、持続可能社会という世界の流れに軸足を置いた新たなエネルギー政策が、新ビジネスを生み、経済全体の活性化につながると期待したい。
(小長洋子 =週刊東洋経済)
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