「太陽光サーチャージ」始動、総合的な視野を持った環境・エネルギー政策を
もともとは「家庭用の太陽光発電装置で発電された電力を、一定量に限り一般の電力料金よりも高い価格で買い取り、その差額は消費者が負担する」というもの。料金は1キロワット当たり48円と、通常の約15~22円(東京電力の場合)と比べて高めに設定され、その差額が「太陽光サーチャージ」となるわけだ。
受益者負担による太陽光発電の普及を目指したもので、これだけ見れば、環境によい施策に思えるかもしれない。だが、なぜ太陽光発電だけに限定したのかについての説明は、太陽光発電システムの普及率をドイツに抜かれたから、トップを奪回するため、とあるだけ。総合的な環境政策、エネルギー政策に基づいて制定されたとはとてもいえない。
再生可能エネルギーは、太陽光だけではない。前出の風力、バイオマスのほかにも、小規模水力、地熱など、経産省傘下の資源エネルギー庁を中心に長年研究されてきている。
にもかかわらず、この省令では、すでに普及が進み始めている家庭用のガス・コージェネシステムや風力発電などとの併用は除外されている。太陽光発電以外の発電方式による電力は、分離するシステムの導入をしなければ売電不可、分離するための装置は売電側(つまり家庭)の自己負担という念の入れようだ。
また、「家庭で」「使用した電力の余剰分」に限られ、事業用の発電設備は除外されている。さらに、家庭であっても一定量以上の余剰が出た場合、電線への流入を自動的にシャットアウトすることによって、買い取りは拒否される。電力は在庫が利かないから、せっかく生産した電力が、みすみす捨てられてしまう。