スターウォーズ完結で暗黒面に落ちたのは誰か

「エピソード9」は歴代何位まで行けるのか?

続いて1999年にはエピソード1『ファントムメナス』が製作される。そして『クローンの攻撃』(2002年)、『シスの復讐』(2005年)と続く。これら3部作では、デジタル技術が映画製作の新たな領域を切り開いた。最近の映画は、「どんな映像でもほとんど思いのまま」になっているが、撮影技術の進化という点でも当シリーズが果たした役割は大きかった。

さて、スターウォーズに関するすべての著作権と商品化権を有するのは、制作会社ルーカスフィルムであった。しかも業界最高峰の特撮スタジオも有していて、言ってみれば左うちわの結構なプライベートカンパニーであった。

ところが2012年にはルーカス本人が引退し、同社の経営を41億ドル(4510億円)の巨費でウォルト・ディズニー・カンパニーに売却する。このことによって、エピソード7から9が製作されることとなり、ファンはめでたくスターウォーズ全作品の完結を見ることができたわけである。

わかりやすいディズニーの方針

ディズニーの判断は、企業の論理としてはきわめてわかりやすいものである。映画産業は石油を掘るような仕事である。当たれば大きいが、外れればゼロになって何も残らない。だから、大手は確実にヒットするような作品を目指す。超大作を作るのも、高額なギャラを取る有名俳優を使うのも、その方が安全だからである。そして一度当たったら、シリーズ化してとことん柳の下のドジョウを追わなければならない。映画という夢の世界の仕事は、案外と夢がない世界であったりもする。

ヒット作が続いて手元資金が増えてくると、さらに大作映画を撮って次のヒットを目指さなければならない。アメリカのことであるから、映画を撮らないでカネを蓄えていると、「使わないのなら、配当を増やせ」と株主から責められる。しかるに確実にヒットを生み出す方法など、この世の中には存在しないのである。

ディズニーという会社は、もとはと言えば漫画家ウォルト・ディズニーが生み出したキャラクターを商品化して基礎を築いた。しかし、さすがにもうミッキーマウスの時代ではない。そこでどうしたか。彼らは暗黒面に落ちたのである。言い換えれば、M&Aを繰り返して経営拡大を続けることにしたのである。

今世紀に入ってディズニーは、アニメづくりのデジタル化で後れを取っていることに気がついた。そこでどうしたか。2006年にスティーブ・ジョブズからピクサー・アニメーションを買い取った。それで『トイストーリー』や『アナ雪』を作り上げた。

次ページ歴代興行収入トップ20のうち11がディズニー
マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
改正対応待ったなし!<br>働き方と仕事の法律

同一労働同一賃金の本格化、中小企業でのパワハラ防止対策の義務化など、今年は重要な改正法の施行が目白押し。2022年に施行される法律の要点に加え、昨年の4月に施行された改正民法も総点検。改正ラッシュへの備えを万全にするための法律虎の巻です。

  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT