恵方巻きだけじゃない!「食品ロス」に秘伝の策

年間600万トン以上の廃棄を少しでも減らせ

大量廃棄で話題になった恵方巻きだけでなく、いまや食品ロスの対策は企業にとっても喫緊の課題だ(写真:美殿 / PIXTA)

「恵方巻きは氷山の一角」――。

毎年、節分になると、食品スーパーやコンビニで恵方巻きを即売する光景が見られる。その大量廃棄がネット上で話題になったこともあり、夜遅く店頭を横切ったとき、「明日になったら捨てられるのか。もったいない」という感情を抱く消費者は少なくない。

そうした素朴な市民感情を受け、農林水産省は2019年2~4月にかけて食品小売業7団体を通じ、恵方巻きのロス削減に対する取り組みを実態調査。さらに12月20日、恵方巻きなど季節商品の需要に見合った販売推進を、関連団体に要請した。すでに政府は10月から「食品ロス削減推進法」を施行し、2020年3月末の基本方針策定を急いでいる。

コンビニエンスストアや食品スーパーなど大手小売りチェーンは、政府・自治体から食品(フード)ロス削減へのプレッシャーを感じざるをえない。2月上旬に全国各地で繰り広げられる恵方巻き販売競争では、イオンリテールが12月12日に恵方巻きの先行予約期間延長などを発表。他社も追随し、自主的な取り組みの本気度が注目されている。

コンビニが試す期限切れ品の値引きクーポン

「食品ロス」とは、売れ残りや規格外品、返品、食べ残し、直接廃棄など、”本来食べられるのに捨てられている食品”を指す。では日本国内で年間どれほど発生するのか。農水省が調査した2016年度推計だと643万㌧。内訳は一般家庭291万㌧、食品製造業137万㌧、外食産業133万㌧、食品小売業66万㌧、食品卸売業16万㌧となっている。

2020年は官民こぞって食品ロス削減への協働作業が本格化する1年となりそうだ。大手小売りは手探り状態ではあるが、食品ロスを減らす対策を試行している。コンビニ業界ではファミリーマートがうなぎやクリスマスケーキなど季節商品を割引特典ありの先行予約制とした。セブン-イレブン・ジャパンは地域限定で販売期限切れの総菜やパンの値引きクーポンを発行する試験を実施した。

こうした表舞台での食品ロス削減への取り組みは一般にも知られている。ただそれとは裏腹に、加工食品の食感には欠かせない、食品添加物が食品ロス削減に長年役立っていることは知られてこなかった。そこで今回、”黒子”の存在に徹する、食品改良剤のメーカーに注目。世界的な実績を持つ改良剤のトップメーカーの理研ビタミンと、その分野の1つである豆腐に使う改良剤で競合する花王の2社を、事例として取り上げたい。

次ページ理研ビタミンは食感改善から賞味期限延長へ
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショックの大波紋
  • コロナショック、企業の針路
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「賃料補助」は焼け石に水<br>飲食店を追い込む“遅い政治”

多くの飲食店経営者が自粛要請に応じています。政治に求められるのは救済プランの素早い策定ですが、与野党案が固まったのは5月8日。せめて第1次補正予算に盛り込まれていれば――。永田町の主導権争いが、立場の弱い人たちを苦しめています。