サッポロビール「シェアは目標にしていない」 業界4位でも4年連続でビール売り上げ増

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――若者の間ではクラフトビールが人気化しつつあります。サッポロビールは「クラフトビール」とは銘打っていませんが、個性的なビールがそろっています。

クラフトビールは実に個性的で、ビール市場をにぎやかにしてくれている。さまざまな消費者がビールに興味を持ってくれるのは、歓迎すべきことだ。

サッポロはクラフトビール戦略と言うより、自分たちしかできないものをやっていきたい。例えば原料へのこだわり。当社はビールの特徴を劇的に変える、香りと味に大きな影響を及ぼすホップを育種している。サッポロが30年前に開発し、アメリカで人気になったホップ品種「ソラチエース」もある。育種から手がけることで生まれる「ストーリー性」を大事にしたい。それができるのがサッポロだ。

高島英也(たかしま ひでや)/1959年11月生まれ、福島県出身。1982年東北大学農学部卒業後、サッポロビール入社。製造部長、仙台工場長、北海道本社代表などを歴任。2017年に社長就任。(撮影:梅谷秀司)

――2020年のアルコール市場をどう見ていますか。

国内のアルコール飲料市場は変わってきている。1980年代前半にワインブームが起き、その後焼酎ブームがあった。最近はウイスキー、ハイボール、チューハイ、サワー、チューハイと消費者の嗜好が多様化している。

今後のことを考えると、日本は節約志向が強い中で、2020年10月から2026年にかけて段階的に酒税改定が行われる予定だ。いいものであれば、「自分はこの日には少しお金を払ってもいい」と自分を満足させてくれる商品を手に取る消費者が増えている。

一方、同じ品質であれば「安いほうがいい」と言う人もいる。消費の2極化が生まれてきており、2020年は消費者の選別志向がより明確になるだろう。

課題は「麦とホップ」などの新ジャンル

――2020年10月の酒税改定は、ビール販売にどんな影響を及ぼすのでしょうか。

甘くは見ていないが、われわれにとってこれはチャンスと捉えないといけない。外的要因で勝手にビール市場が盛り上がるとは思っていない。新ジャンルも一定以上の水準を維持していくが、いちばん注力するのはビール。ここを大きく伸ばしていきたい。

黒ラベルやクラシック、ラガーなどビールに関しては成果が出ている。課題は「麦とホップ」などの新ジャンルだ。新ジャンルはビール類市場全体の売上高において30~40%を占めるが、税率改定で新ジャンルの価格が上がるので、消費者は価格の安いチューハイに流れると予想している。

――税率改定で値段が上がる新ジャンルは、どう対応しますか。

2019年に「麦とホップ」をリニューアルし、これは今のところ成果が出ている。新ジャンルのマーケットで、今まで落としてきた部分を挽回することができた。「ビールに近いテイスト」をストレートに伝えたのと、曖昧だったターゲット層を50歳以上の男性に絞ったことが奏功した。

次のターゲットとして、ビールが飲める頃にはもうすでに新ジャンル市場があった世代に訴求する新商品を準備している。それが新商品「ゴールドスター」で、「麦とホップ」がビールに近い味で50代に訴求する一方、「ゴールドスター」は黒ラベルを支持する若い人たち、30~40代にアピールする。

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