サッポロビール「シェアは目標にしていない」 業界4位でも4年連続でビール売り上げ増

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サッポロービールはここ数年、ビールの売り上げを伸ばしてきた。写真は東京・恵比寿のサッポロビール本社(撮影:今井康一)
2020年はビール業界の動きが慌ただしくなりそうだ。
2026年までに段階的に行われる酒税改定の第1回目が2020年10月に行われ、350ミリリットル当たりのビールの税額が、現状の約77円から約70円へと7円下がる。逆に、新ジャンルの税額は約28円から約39円へと11円上がる。酒税の改定に消費者がどのように反応するのか、注目される。
サッポロビールは、ビール業界4位でありながら、ここ数年ビールの売り上げを伸ばしてきた。同社の高島英也社長に2020年の戦略を聞いた。

ビール事業はサッポロの根幹

――サッポロビールは2019年、「ビール強化宣言」を掲げ、ビール拡販に力を注ぎました。その結果、ビール市場が前年割れを続ける中、「黒ラベル」が4年連続で前年比で売上増と好調です。

ビール事業は「黒ラベル」「ラガー」「クラシック」などの銘柄が牽引してくれた。とくに黒ラベルの缶は、年間販売量が2015年から伸び続けている。黒ラベル缶は2015年に、原料改良やパッケージ刷新などのリニューアルを実施したので、その効果が継続しているのだろう。今年、黒ラベル缶は2014年比で1.5倍に届くかもしれない。

また、サッポロは原料からモノづくりにこだわっている。「おいしい生ビールを一般の家庭でも」という創業の頃からの精神を、今も大事にしている。原料の育種から手がけ、香りと味が変化しにくい製法も使っている。長い間取り組んできたことが、消費者に評価されてきているのではないだろうか。

――2010年にスタートした黒ラベルのテレビCM「大人エレベーター」シリーズも寄与したのでは?

「大人エレベーター」シリーズに人気俳優の妻夫木聡さんに登場してもらってから、かれこれ10年以上になる。ビールのテレビCMとしては大人しいが、落ち着いた語りのトーンが若い人たちから好感をいただいている。

自分らしさや周囲に迎合しない潔さといった、今の若い人たちへのメッセージを深掘りした内容になっている。 

ビール事業は、われわれの会社の根幹をなしている。(ビール市場は縮小基調だが)品質へのこだわりやテレビCMの強化などにより、「当社はビール会社だ」と自信を持って、今後もビール拡販に再注力していくことができる。

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