デパスの取り締まりが「遅すぎた」と言われる訳 麻薬・向精神薬指定に26年、需給制限は不可能

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厚生労働省によるデパスの向精神薬指定の経緯、そしてインターネットでデパスの闇売買を取材した(著者撮影)
メディア関係者と医療者の有志で構成するメディカルジャーナリズム勉強会がスローニュース社の支援のもとに立ち上げた「調査報道チーム」が、全6回にわたる連載で追っている「合法薬物依存」。第6回は、厚生労働省によるデパスの向精神薬指定の経緯、そしてインターネットでデパスの闇売買を取材した。
第1回:合法的な薬物依存「デパス」の何とも複雑な事情(2019年11月29日配信)
第2回:20年間「デパス」を飲み続ける彼女の切実な事情(2019年12月3日配信)
第3回:薬剤師が見たデパス「気軽な処方」が招いた実態(2019年12月6日配信)
第4回:「デパス」に患者も医者も頼りまくる皮肉な実態(2019年12月10日配信)
第5回:田辺三菱製薬「デパス」製造者の知られざる歩み(2019年12月27日配信)

※本来複数の製薬企業から同一成分の薬が発売されている際の表記では、成分名のエチゾラムを使うのが一般的である。しかし、服用患者も含め世間一般では簡単に覚えやすい「デパス」でその名が広く知られていることが多い。このため以後はエチゾラムではなく「デパス(エチゾラム)」と表記することをあらかじめお断りしておく。

現在、麻薬及び向精神薬取締法で規制対象となる向精神薬の指定に関しては厚生労働省医薬・生活衛生局長の私的諮問機関である「依存性薬物検討会」に諮り、そこで動物実験データや臨床試験でわかった有害性のデータ、さらに国内外での使用状況などのデータを基に科学的な検討を行う。検討会が指定が必要と判断した場合はそのことを公表してパブリックコメントを求め、その結果を受けて政令で指定を行っている。

そのなかで1983年に製造承認を受けたデパス(エチゾラム)の場合、2016年になってようやく麻薬・向精神薬取締法の取り締まり対象の向精神薬として指定を受けた。この指定時は一部の若手精神科医などから「とっくに指定されているものだとばかり思っていた」との声が上がり、一方で長らく依存問題にかかわってきた精神科医からは「なぜこれほどまでに時間がかかったのか」との批判も少なくなかったという。

デパスの向精神薬指定の経緯について厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課・課長補佐の坂西義史氏は次のように説明する。

規制導入直後には向精神薬と見なされなかったデパス

「麻薬・向精神薬取締法に基づく向精神薬の指定は新薬承認時に同時指定という場合とそうではない場合があります。デパス(エチゾラム)の場合は1983年に製造承認を受けましたが、麻薬・向精神薬取締法による向精神薬の規制ができたのは1990年でした。

もちろん1990年の規制導入直後にも既存のベンゾジアゼピン受容体作動薬についても検討されて、その一部が向精神薬指定となりましたが、当時デパス(エチゾラム)は向精神薬に相当するとは判断されていなかったということです。

その後、2016年に有害性の恐れがあり、麻薬・向精神薬取締法に基づく政令で向精神薬と指定されている10種の物質と同様だと依存性薬物検討会で判断されて向精神薬に指定するべきとの意見がまとまりました」

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