糖尿病に手を差し伸べる新型「医療保険」の正体 アプリで健康増進、保険料還元で動機づけ

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台湾のH2社が開発した糖尿病患者向けアプリの画面(撮影:梅谷秀司)

生命保険会社が、生活習慣病の中でも患者数が多い糖尿病の重症化予防の領域に踏み込み始めている。SOMPOホールディングスの子会社であるSOMPOひまわり生命は、12月24日から糖尿病患者向けの新商品である医療保険「ブルー」を発売する。

医療保険に加入するには高い保険料を払わなければならなかった糖尿病患者に対して、入院一時金などの保障を提供するとともに、血糖値や血圧、食事、運動などをアプリで記録・管理することで、重症化を予防する仕組みを提供するのが特徴だ。

糖尿病患者の数は過去最多、329万人に

健康な人が病気になることを予防するため、健康状態などに応じて保険料が変動する健康増進型保険はすでに提供されている。生保各社はさらに一歩踏み込み、すでに病気にかかり、治療を受けている人を対象にしようとしている。

厚生労働省の「患者調査の概況」(2017年、3年ごとに調査)によると、糖尿病の患者数は2014年の調査から約12万人増え、過去最多の約329万人になっている。糖尿病になるリスクが高い「予備軍」は1000万人以上もいるとされる。

「サイレントキラー」(静かなる殺人者)と呼ばれる糖尿病は、自覚症状がないまま症状が進行し、悪化すれば合併症などを引き起こすことも少なくない。その一方で、適切な治療と生活習慣の改善などで重症化を予防できることもわかっている。

ただ、いったん発症すると完治は困難であり、健康な人より入院などの確率が高くなる。そのため、入院や手術をカバーする医療保険や死亡保険に加入することはごく軽度の糖尿病を除いて困難だった。糖尿病の持病があったり、過去にかかったことのある人向け専用の保険商品はあるが、保険料が高いうえに保障範囲にも制限がつく場合が多かった。

【2019年12月24日8時2分追記】初出時に一部誤字がありました。表記のように修正いたします。

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