40年行方不明だったノーベル賞作家遺稿の中身

パール・バックが最後に書きたかったのは

ノーベル賞作家、パール・バックの遺稿を翻訳した戸田章子氏(撮影:吉濱篤志)

長編『大地』で知られるアメリカ人ノーベル賞作家、パール・バック。死後40年間行方不明だった遺稿『終わりなき探求』が、晩年の地から遠く離れたテキサス州の貸倉庫で発見された。生まれながらに並外れた知能を持つ青年の成長物語。翻訳した戸田章子氏はそこに、老いてなお人生の驚異、人生の意味を求めてやまなかった著者の渇望を見る。

再度スポットライトが当たる素地はできていた

──2012年、遺稿発見時は大きく報じられたのですか?

アメリカのニューヨーク・タイムズ紙を筆頭に「ついに発見」という大見出しが躍りました。1938年に一連の作品でノーベル文学賞を受賞して以降、しばらく顧みられなくなっていたパール・バックでしたが、全米で人気の司会者、オプラ・ウィンフリーが自身のテレビ番組で『大地』を取り上げ、追って伝記本も相次ぎ出版された。彼女に再度スポットライトが当たる素地はできていました。

──『大地』単独ではピュリツァー賞を受賞しているんですね。小説だけど、報道寄りの賞で。

ノーベル賞受賞をめぐって「ちょっと大衆的すぎる」と批判が出たくらい、読みやすい文章で書かれています。中国・清朝末期の時代、人間の根源的なもの、土に足を着けて生きる貧農がはい上がっていく話で、出産や死、貧しさゆえの子殺しなどを赤裸々に描いた作品です。

お砂糖をまぶすようなことはせず、彼女自身、口当たりのいい小説ではないと語っています。それでも読者からは支持され、二十数カ月世界販売1位という大ベストセラーになりました。

──そして今回発見された遺作ですが、中身に対する現地での評価はどうだったんですか?

次ページかなり意外な導入部分
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • iPhoneの裏技
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
  • 岐路に立つ日本の財政
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
人望のない人は「たった一言」が添えられない
人望のない人は「たった一言」が添えられない
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
都心vs. 郊外 家を購入するならどっち?
30~40代でも起こりうる『孤独死』の過酷な実態
30~40代でも起こりうる『孤独死』の過酷な実態
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
漂流する東芝<br>舵取りなき12万人の悲運

再出発したはずの東芝の漂流が止まりません。再建請負人の車谷暢昭社長が電撃辞任。緊張感が増すファンドとの攻防や成長戦略の構築など課題は山積しています。従業員12万人を超える巨艦企業はどこに向かうのでしょうか。

東洋経済education×ICT