国外へ流出する不正蓄財
取り締まりを受ける側も、ずっと以前から対応策を練ってきました。最もスケールの大きいやり方が、不正蓄財した資産を家族ごと海外へ移して捜査の目を逃れ、しかる後に自らが海外逃亡してしまうという手法。そして、家族と資産を海外へ移した状態の役人を指し示す言葉として流行語となったのが「裸官」(ルオグアン)、文字どおりハダカの役人です。
この表現もネットからマスメディアへと浸透して、昨年の流行語となりました。Global Times1月17日付によれば、公務員の収賄と横領の8割が「裸官」によるものです。この「ハイリスク」グループを撲滅すべく、政府は、配偶者を海外移住させた公務員は今後いっさい昇進させないことを決定しました。出世の道を永遠に閉ざす、という厳しいルールです。もっとも、役人の収賄には「59歳現象」と呼ばれる、定年間際に不正蓄財をして退職と共に逃げ切ってしまうケースが多いようで、皆さんなかなかしたたかです。
ショック! カナダ移民の道が閉ざされた!
役人にかぎらず、中国では一般人の間でも海外移住が後を絶ちません。China Daily Asia Weekly2月最終週版には、2013年の中国から海外への移住者が934万2485人という、にわかには信じがたい数字が載っています。また、ロイター発の情報によれば、中国人富裕層のうち、海外にすでに移住したか、または移住を計画中の人は64%に上るということです。
そんな中国人富裕層にとって寝耳に水のニュースが飛び込んできました。2月13日付Wall Street Journalの報道によると、中国富裕層の海外移民先として人気のあったカナダが投資移民ビザ制度を廃止したのです。
この制度は、80万カナダドルを持ち込んで、それを政府認可の投資案件に5年間無利子で融資する人に永住権を与えるというもので、多くの富裕層がこれを使って移住していました。South China Morning Postによれば、認可待ち申請者のうち7割が中国人で、4万6000人以上が影響を受けるとのことですから、この人たちは大きなショックを受けているでしょう。
もっとも、カナダ以外にも人気移住先であるアメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなど、選択肢は多数あります。「土豪」や「裸官」の皆さんのグローバル志向はまだまだ続きそうです。
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