立憲と国民の合流、遠いワンチームへの道のり 主導権争いや政党助成金めぐりすれ違う思惑

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2017年秋の衆院選を前に当時の民進党が大分裂して以来、すでに2年2カ月余り。旧民進系勢力は立憲、国民両党と、どちらにも所属しない「無所属の会」などに分かれ、その後の国会運営や参院選でも多弱野党に甘んじてきた。その結果、「安倍1強政権の跳梁跋扈を許す原因」(首相経験者)と指摘され続けてきた。

しかし、「参院選での不十分な野党選挙共闘が自公政権の勝利につながった」(国民幹部)との反省と次期衆院選への強い危機感から、10月上旬の臨時国会召集前に立憲、国民、無所属の会など旧民進系勢力による衆参両院での統一会派が実現。その先の目標として、合流と新党結成構想が動き出したのだ。

17日の党首会談での合意を踏まえて、立憲、国民両党の動きは18日以降、さまざまな場を通じて活発化している。円満合流のカギを握るとみられる連合に対しては、枝野氏が18日、神津里季生会長と都内のホテルで会談し、合流に関する立憲の立場を説明して理解を求めた。続いて玉木も神津氏と会談して連合の意向を確かめた。

容易に払拭できない立憲、国民両党の「壁」

一連の会談で神津氏は「究極的には(合流は)望ましい姿」と従来の考えを述べるにとどめたとされる。この会談には立憲の福山哲郎幹事長、国民の平野博文幹事長もそれぞれ同席。両幹事長は19日にも合流に向けた協議を始める。

そうした中、18日午前には衆議院で、立憲と国民の控室の間を仕切る壁の撤去工事も始まった。表向きは臨時国会前の統一会派結成を踏まえた工事とされるが、2020年1月20日とされる通常国会召集前に完成する見通しとあって、自公両党などには「早期合流実現を前提とした工事」(自民国対)との憶測も広がった。工事に立ち会った立憲、国民の関係議員からは「壁の1つや2つを乗り越えられないとだめだ」(立憲幹部)との声も出た。

ただ、国民の現職候補がいる参院選の一部選挙区で立憲が候補擁立に動いたことに参院の国民幹部が反発し、立憲・安住淳、国民・原口一博両国対委員長が出席する「壁撤去式典」に反対論が出て、両党の政治的な壁は簡単に撤去できそうもない。

そもそも、旧民進系勢力の再結集については「民主党への先祖帰り」との批判が付きまとう。安倍首相がことあるごとに「あの民主党政権の悪夢を繰り返してはならない」と攻撃するのも、政治路線や政策をめぐる党内対立で瓦解した民主党政権時代への国民の嫌悪感がなお根強いとみるからだ。

合流に向けて動き出した枝野、玉木両氏は「政権交代のきちんとした受け皿を作るのがわれわれの国民への責務」と口をそろえるが、合流協議の実態をみる限り「なんとか合流しても、理念や政策が棚上げされるなら、『ワンチーム』どころか『帰ってきた民主党』そのもの」(自民幹部)との批判は避けられそうもない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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