悩んだら上司より「他部署の先輩」の助言が効く

仕事で伸びるには「ナナメの関係」を使え!

設計の最中、何度も壁にぶつかりました。ある日、1週間考え抜いても答えが出ないので、どうにもならなくなり、上司に相談しました。そのときの上司のひとことは強烈でした。

「お前、本当に真剣に考えたか? 考えてないだろ。だって、頭から煙が出てないぞ」と突き放され、結局、何のアドバイスももらうことはできませんでした。「こりゃ、1人でやるしかないな」と思い、必死にシステムを完成させたことを覚えています。

私は今でも、そのときの上司には感謝しています。あのときに「答えはこうだよ」と教えてもらっていたら、その後の私は甘ったれになってしまい、厳しい仕事を乗り越えることができなくなっていたでしょう。「自分の力でやりきれるんだ」という自信は、この仕事で身に付けたのです。

ただ、隣の部門の先輩にはよく相談しました。その先輩は「その件なら、あの人に聞いたらわかるんじゃないか」「むちゃくちゃな要求は『無理です』ときっぱり言うことも大切だよ」「それはお前の言い方を変えたほうがいいぞ」などと、親身になってアドバイスしてくれました。

なぜ上司は「自分で考えろ」と言うのか

それにしても、なぜ直属の上司は「自分で考えろ」と言うことが多いのでしょう? 世間には意地悪な上司が多いんでしょうか?

そうではありません。多くの上司は、部下に対する親心から「たくましく育ってほしい」と願うからです。すると、私の元上司のように突き放すことになるのです。

あるいは逆に、あれをやれ、これをやれと直接的な指示をしてしまったりします。人材育成では「本人に考えさせること」が重要なのに、答えを言ってしまっては、「受け身の姿勢」を育成しているようなものです。

でも、つい答えを言ってしまうのは、ある意味、仕方のないことなのです。なぜなら上司には、部下も含めた部門全体の業績の結果責任があるからです。考えさせて待っていると、期限が過ぎてしまったり、ビジネチャンスを逃したりすることもあります。よって上司は「人材育成」に関しては、どうしても不器用になりがちなのです。これは親子の関係についても似た部分がありますよね。

その一方、隣の部門の先輩はそうではありません。業績には直接的には関わらない、言わば「無責任な関係」です。普段の仕事ぶりも知りません。「お前、どういう意味でそう言っているの?」など、知らないからこそ「逆質問」をしてくれます。その質問が、相談した本人の「気づき」を引き出すことになります。

つまり、ある意味で他人同士の関係なので、「大人の思いやり」で話ができるのです。自分の部下に向けてだと気を遣ってしまって言いにくいことも、ずばっと言えたりします。

上司と部下の関係を「縦の関係」というのに比較して、隣の部門の先輩のような人との関係を「ナナメの関係」と呼びます。すでにお話ししたように、「縦の関係」は人材育成には不器用な面もあります。そこで、あえて無責任な「ナナメの関係」を活用することで、結果的に目標達成のために重要な「気づき」を得られるのです。

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