初速は順調。PS4はソニーの救世主か 緒戦はライバルに圧勝。利益貢献へ期待大だが

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まだ病み上がり

では、PS4は今期1100億円の最終赤字に転落するソニーの苦境を救えるのか。

生産コストが売価を上回る逆ザヤとなっていたPS3と異なり、PS4は「発売当初からハードウエアの利益貢献がある」(日本とアジアのゲーム事業を統括する河野弘氏)。独自半導体を捨てたことによって得られたメリットだ。黒字を出すことで、プロモーションやPS4専用ソフトの開発促進などに予算を割く余裕も生まれてくるだろう。

さらにオンラインコミュニティの有償メニュー(年間50ドル、5000円)が新しい収益源に育ちつつある。PS4ではこの有償メニューへの動線を強め、加入率が50%以上に達しているようだ。

昨年の10~12月期、ゲーム事業を担当するソニー・コンピュータエンタテインメントは売り上げ4418億円、営業利益180億円を稼いだが、今年の年末商戦ではその数倍の利益を稼ぎ出す可能性がある。すでに過去の製品と思われた据え置きゲーム機にも十分に高い市場性、収益性があることが証明されつつある。

ただ課題もある。SCEは日本市場向けPS4タイトルの準備に苦戦しており、同時発売の専用タイトルを用意できなかった。日本のソフト会社との連携を強化し、Xboxにはない魅力をどれだけ積み上げることができるかが問われる。

また同じSCEが手掛ける携帯ゲーム機の「PS Vita」は苦戦が続いている。全体で見ると、ゲーム事業にはまだまだ解決するべき点が多い。

PS3の投入以降、巨額の赤字に苦しんできたゲーム事業はまだ病み上がりだ。ゲーム事業に過剰な期待をすることはできないだろう。

週刊東洋経済2014年3月8日号〈3月3日発売〉 核心リポート02)

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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