社員が疲弊「社内アンケート」が大量に来る根因 サブスク型サーベイの問題点はいったい何か

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サブスク型のデメリットもしっかり踏まえて運用をする必要がある。それは、サブスク型ビジネスが広く多くのユーザーに同一の機能を提供することで低価格を実現していること。言い換えるならば、最大公約数的なサービスになりやすいため、自社にとって「まったく使えなくはないが、ものすごく使いやすいとは限らない」ものだと認識しておく必要がある。

ただし、それはあくまでも「そのまま使おうとする」場合。自社のためにオリジナルで開発されたシステムではないことを前提に、自社がサーベイやツールを利用する目的にあわせた運用を検討することが有効だ。例えば、初めは人事部や一部の選抜組織のみで利用して、使い方の検証をしてみること。そのときに、使い勝手だけでなく、目的に沿った活用ができているかを検証することが大切だろう。

無料だからと安易に飛びついて全社に展開すると、運用がうまくいかずに「使えないサービス」というレッテルを貼られてしまいかねない。そうなると従業員はサーベイに真剣に向き合わず、ただ全社で疲弊していくだけ。「サービスが使えないのではなく、運用がイケてない」のは、弊社エッグフォワードが、相談を受けた課題の真因でも割と目にする代物だ。

効果を実感できないと続かない

最後に、意外に見過ごされがちだが重要な要因をお伝えしよう。それは、「現場社員がサーベイにメリットを感じていない」ということだ。

人事や経営は継続的に調査結果をモニタリングしているので、何かしらの数値が改善されていればそこに活動の成果を感じやすい。しかし、現場で働く一人ひとりにしてみれば、集計された全社の数値が何ポイント改善しようと、自分には関係のないこと。一人ひとりが職場環境や働き心地に変化を感じられて初めて、効果を実感してもらえる。ここまでコミットしないと、現場は「上からのやらされ感」でサーベイに意味を感じられず、疲れていくだけだ。

そこで、まず前提となるのは、サーベイの目的や成果が現場に正しく伝わっていること。何のためにやるのか、従業員満足やエンゲージメントの向上によってどんな会社にしていきたいのかといったゴールイメージが浸透していないと、こうした調査は「本音を書くと人事評価に関わるのでは?」と疑心暗鬼になりやすい。

連続で評価を悪くつけると面談に呼ばれるのではという噂が広まり、面倒なので、空気を読んで決して悪くはつけないという人が続出しているケースもある。新しくサーベイをとる際は、単に回答を依頼するのではなく、現場社員の理解を促すような丁寧なコミュニケーションが必要だ。

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