2日目には「科学的知見を誰が、誰に、どう伝えるのかWebメディア『Baseball Geeks』の役割とその影響」という情報提供があった。
国学院大学准教授でバイオメカニクス研究の第一人者である神事努氏が登壇。神事氏は東北楽天ゴールデンイーグルスで、データアナリストとして情報分野を統括していた経歴も有する。
神事氏は、近年、トラッキングシステムの発達により、メディアでも投手の投球の「回転数」が取り上げられることが多いが、投手の球質は「回転数」に加えホップ、スライド、シュートなど「回転軸」も重要だが、このことがメディアでなかなか理解されないことを紹介。こうした科学的知見が指導現場で活用されない「Bridge the Gap」を解決するために、Webメディア「Baseball Geeks」を立ち上げたという。
続いて「Baseball Geeks」に関わる編集者の黒田俊氏、アナリストの森本崚太氏と国立スポーツ科学センタースポーツ研究部研究員の森下義隆氏が、ウェブメディアで専門情報を発信することの課題や問題点について話した。
森本氏はトラッキングデータに基づくデータ解析が専門だが、MLBではこれを活用して投球の改善を図る菊池雄星投手(シアトル・マリナーズ)や、トレバー・バウアー投手(シンシナティ・レッズ)がいると紹介した。
ここで、来日中のトレバー・バウアー投手が登壇。MLB通算70勝、5年連続2桁勝利を継続中の一線級のメジャーリーガーの登場に、会場の熱量は上がった。
バウアー投手は自分の球種ごとの回転数をマッピングしたマトリックスを見ながら、自らの投球の特徴や、克服すべき課題などに加え、神事氏の質問に答えて「回転軸を回転数よりも重要視している」とも話した。
野球離れに対する取り組みの実際
「普及のカタチ~アカデミーと指導者資格~」のテーマでは、ジャイアンツアカデミーの石田和之氏と元日本野球会議の柳俊之氏が登壇。「野球離れ」が進行する中、優秀な選手にならなくても野球ファンとなる子どもを作るために、未就学児童や小学生に実施している「野球教室」について紹介した。
柳俊之氏は、プロ、アマ、学生、社会人と乱立する野球団体の連携を図るために設立された野球協議会で、ライセンス制度の導入が進んでいると話した。
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